ファシリテーションとは?特徴とメリット、やり方の簡単なコツを徹底解説

2020/11/24

組織のスピード感が増し、提供サービスも複雑化する近年、ファシリテーションがリーダーやマネージャーの重要スキルとして注目されるようになっています。

働き方の多様化に伴って、多彩な能力や個性を持つ人材が協働するようなプロジェクトを進めるうえでも、ファシリテーションスキルは非常に役立ちます。

記事では、ファシリテーションの定義やメリット、進行役ともいえるファシリテーターに必要なスキルやファシリテーションの進め方を詳しく解説していきます。

<目次>

ファシリテーションとは?

ファシリテーションの本来の意味は、「人々が活動、特に知的な創造活動をスムーズに行なえるように、そして、上手くいくように支援や舵取りをする」ことです。

 

そこから転じて、ビジネスシーンにおける “ファシリテーション”は、「会議や研修、ミーティング等において、場を活性化させ、参加者の衆知を集めることで、良質な結果が得られるように進行する」ことを指します。

 

“ファシリテーター”と呼ばれる会議等の進行役(ファシリテーションを行なう人)は、さまざまな意見や価値観を持つメンバーをまとめ、アイディアを引き出し、ゴールに向けて導く役割を担います。

 

 

ファシリテーターがいる会議と通常の会議進行の違い

ファシリテーションが上手く働くと、会議には以下のような違いが生まれます。

 

・会議時間で明確に意思決定やアウトプットが行なわれる

ファシリテーターは、参加者の意見を引き出して、議論を広げていくと同時に、タイムマネジメントしながらゴールに向けて会議を進行する役割も担います。

 

従って、終了時間を決めずにダラダラと長く続く会議と比べると、短い時間の中で集中して、しっかりとしたアウトプットがもたらされます。

 

・参加者に満足感や納得感がある

ファシリテーターは、参加メンバーの意見を公平に引き出し、場を活性化させていきます。声の大きな人が一方的に主張したり、権力を持った人が頭ごなしに意見したりすることを防ぎ、“良質な結論”を導くために、多くの意見をフラットに扱います。

 

従って、参加者にとっても、自分の意見をしっかりと述べる機会があり、意思決定に参加した満足感、納得感が得られます。会議等で自らも議論と意思決定に加わったことによる参画感は、会議での決定を実行するうえでもポジティブに働くでしょう。

ファシリテーションの目的と得られるメリット

ファシリテーションの目的と得られる効果を考えてみましょう。

 

 

ファシリテーションの目的

ファシリテーションを行なう目的は、多様な意見をもとにした合意形成によって、より良質な意思決定を行なうとともに、意思決定に対する参加者のコミットを引き出すことです。

 

目的を達成するためには、3つのステップを実践していく必要があります。各ステップの内容と得られるメリットを見てみましょう。

 

 

ステップ①「引き出す」

ファシリテーターが行なう最初のステップは、「参加メンバーの意見を引き出す」ということです。

 

会議には、話し好きな人から口下手な人、他人の意見を封じ込めてしまう人まで、さまざまなメンバーが参加します。参加する立場もそれぞれで、新人から幹部まで参加することもあるでしょう。

 

ファシリテーターは、“良質な意思決定を行なう”というゴールに向けて、なるべく多くの意見を引き出す役割を担います。多くの参加者が発言することにより、多様な視点やアイディアがもたらされると共に、発言することによる参画感が醸成されます。

 

 

ステップ②「整理する」

さまざまな意見やアイディアが出されることは良いことですが、意見が散らかったままでは、会議等の目的を達成できません。

 

そのため、ファシリテーターは、検討すべきテーマに優先順位を付けたり、意見を関連付けたり、グルーピングしたりしながら、出された意見を整理していきます。場合によっては、優先度の低い話題をいったん保留にするパーキングロット等の手法を使うこともあります。

 

スキルを持ったファシリテーターが進行することで、多様な視点やアイディアが意思決定の考慮材料として使える状態に整理されていきます。

 

 

ステップ③「決定する」

ファシリテーターはタイムマネジメントを行ないながら、整理された情報を踏まえて、意思決定に向けて場を導いていきます。誰かが強引に決めたりするのではなく、出された多様な意見を踏まえて、良質な意思決定に向けた合意形成を進めていきます。

 

ファシリテーターが“拡げる”だけではなく、会議のゴールに向けて“収束させる”役割を担うことで、しっかりと会議の中で合意形成が行なわれることがポイントです。

ファシリテーターの役割と必要とされる5つの力

ファシリテーターには、多くの役割と求められる力があります。ファシリテーション力を磨くうえでも、どのような役割を担い、スキルを求められるかを整理しました。

 

 

客観性

会議等におけるファシリテーターは、中立的なポジションです。従って、偏らず揺らがない客観性が必要となります。

 

参加メンバーの満足度を高めるうえでも、良質な意思決定の材料となる多様な視点を引き出すうえでも、自分の主観を押し付けずに、フラットな視点で自分と異なる意見を受け入れる姿勢が重要です。

 

 

目的意識

会議のゴールを見失わないこともファシリテーターの大切な役割です。会議のゴールは主に合計性と意思決定になることが多いでしょう。

 

ゴールを常に意識しながら舵取りをするファシリテーターがいることで、参加メンバーは安心して場に参加して、意見を述べたり、聞いたりすることに集中できます。

 

また、参加者の意見や議論が会議のゴールからずれてきた時には、本来のゴールを提示して、本筋に戻すこともファシリテーターの大事な役割です。

 

 

ロジカルシンキングとシステム思考

ファシリテーターには、出された意見を適切に汲み取る力や整理する力が必要です。

 

従って、出された意見の結論やポイントをしっかり理解するためのロジカルシンキング、出された意見の関連性や相互作用を見つけ出していくシステム思考が求められます。

 

ロジカルシンキングとシステム思考ができるファシリテーターがいると、多様な視点やアイディアが、意思決定に向けた材料としてしっかりと整理され、良質な意思決定を行ないやすくなるでしょう。

 

 

質問力

ファシリテーションでは、相手の意見を引き出し、さらに疑問点や不明点を解消していくための質問力が非常に大切です。良質な“問い”は、参加者の思考を刺激して、良い意見を効率よく引き出す効果があります。

 

また、ファシリテーターの質問力が高まると、自分たちが無意識に持っている前提条件の枠を超えて考えたり、より未来に向けた建設的な思考をできるようになったりします。

 

質問力はコーチングスキルの1つであり、ファシリテーションだけでなく、1対1での打ち合わせやレビューにおいても有効です。

 

 

傾聴力

発言者の意見をしっかりと集中して聴く傾聴力も、ファシリテーターに必要なスキルです。ファシリテーターには、発言者が伝えたいことに共感し、真摯な態度で耳を傾ける姿勢が求められます。

 

ファシリテーターのこうした姿勢が、参加メンバー信頼関係や安心感に繋がります。ファシリテーターの傾聴力によって「自分の意見をしっかりと受け止めてもらえる」という実感が持てると、これまで消極的だったメンバーも積極的に会議に参加するようになります。

 

傾聴力が生み出す安心感は、問題解決に向けた多彩な意見を集めるうえで、非常に大切なのです。

 

効果的なファシリテーションのやり方 5ステップと実施のコツ

効果的なファシリテーションを行なうためには、以下の流れを参考にするのがおすすめです。

 

 

ステップ1 場を設定する

会議等で、参加者が好き勝手に話し合っても、良い結果は得られません。

 

そのため、ファシリテーターは、会議のゴールや参加メンバーにあわせて、まずは効果的な進行するための“場”を作ります。

 

“場を作る”うえでは、以下のようなポイントを最初に確認しておくと、良いでしょう

 

  • 会議のゴール
  • 議論するうえでの前提条件
  • 会議のルール

Ex)

-他の人が意見を述べている間に遮らない

-主観や好き嫌いだけで否定しない

-疑問に思ったことは必ず質問する

 

 

ステップ2 意見を引き出す

場を設定したら、意見を引き出していきます。ホワイトボードやドキュメント、研修の場合には模造紙などを使って、出た意見を書き留めていくことが一般的です。

 

意見を引き出すうえでは、いきなり喋ってもらうのではなく、まずは付箋紙などを使って各自で意見を考えて書き出す、といったステップを挟むことも効果的です。また、テーマによっては、事前に意見の準備やレポート作成をしてもらったり、意見を考える参考となるデータや顧客の声の収集を依頼したりすることも有効です。

 

なかなか意見が出ない時には、ファシリテーターが、テーマを細分化してみたり、指名して発言を促してみたり、違う軸から考えるような質問を問いかけたりします。こうしたサポートがあると、短時間の中で良い意見、多くの意見が出やすくなります。

 

 

ステップ3 意見を受け止めて拡げる

個々の意見をより膨らませていく、意思決定や合意形成の材料とするためには、ファシリテーターの“拡げる”工夫が大切です。

 

各参加者に発言してもらうだけではなく、出てきた意見を踏まえて、以下のような視点で提案したり、質問を追加したりこともファシリテーターが工夫できるポイントです。

 

Ex)

  • 視点を増やす
  • 視野を広げる
  • 視座を高く(低く)する
  • 逆の意見を考える
  • 前提条件を疑う

 

ファシリテーターが意見を受け止めて拡げることで、議論の活性化や新たな気付きが促されやすくなります。

 

意見を出す、発言することがあまり得意ではないメンバーがいる場合は、ファシリテーターはじっくり傾聴する姿勢を見せたり、指名して発言を促したりする工夫も行ないましょう。

 

 

ステップ4 常にゴールを見ながら進行する

ファシリテーターは、参加者の意見を広い、広げていくと同時に、しっかりとゴールに向けて収束させる進行を行なうことも必要です。

 

アイディア出しの“ブレインストーミング”以外の会議では、時間内に合意形成や意思決定のゴールに到達することが重要です(ただし、場合によっては、“この時間内では意思決定しない”という合意形成することもあり得ます)。

 

そのため、ファシリテーターには、意見や話し合いが脱線したら本来の流れに戻す役割も求められますし、出された意見をリアルタイムで整理していくスキルも必要です。

 

 

ステップ5 収束と合意形成への進行を行なう

拡げる時間、収束する時間、意思決定の時間といった会議のタイムマネジメントを行なって、合意形成・意思決定のゴールへとたどり着きます。

 

収束と合意形成に向けて進行するうえでは、例えば、最初にスケジュール共有をして時間を意識させたり、出された意見をMustとWantで優先順位を付けさせたりする工夫も必要です。

 

議論が脱線しやすい場合には、テーマごとに細かく時間設定することで「いつまでに、どこまで進まないとならないか?」を意識させることも有効です。

まとめ

近年では、専門化やサービスの複雑化により、リーダーが独りで考えてベストな回答を出せるわけではなくなってきました。また、メンバー一人ひとりが自立して行動してもらううえでは、意思決定への参画感が求められます。

 

そんな中で、メンバーの意見を引き出してより良い意思決定を実現しながら、メンバーの参画感も醸成できるファシリテーションは、管理職に求められる重要スキルとなりつつあります。

 

組織の課題解決力を高めたり、議論を活性化させたりしたい方は、紹介したやり方を参考にしながら、ファシリテーションを実践してみてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック 取締役 HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等

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