マンダラチャートは「曼荼羅」と「アート」を組み合わせたシートで、目標を達成するための具体的な行動やアイデアを洗い出すことに有効なツールです。
目標達成に有効なフレームワークとして知られていますが、作成するうえでいくつか欠点もあるのをご存じでしょうか。欠点を無視してマンダラチャートを作成してしまうと、行動計画の質や先の展開なども難しくなってしまうため、作成のポイントを押さえて利用することが重要です。
本記事では、マンダラチャートとは何か、そして作成のメリットと欠点、補完方法を分かりやすく解説します。
<目次>
マンダラチャートとは何か?
マンダラチャートとは、仏教の「曼荼羅」と「アート」を組み合わせた語源のツールであり、設定した目標を達成するには具体的に何をすべきなのか、具体的な行動やアイデアを明確にすることが可能です。
「マンダラチャート」以外にも「マンダラート」、「目標達成シート」、「オープンウィンドウ64」といった呼び方がありますが、基本的にはどれも同じ仕組みになります。
マンダラチャートでは、シートに3×3のマスを9つ作成し、中央のマスに自分が達成したい目標を、周囲の8マスに目標を達成するためのテーマを記入していきます。そして、残りの3×3のマス8つに具体的な方法や施策を記入して展開していき、合計81マスをすべて埋めるというのがルールです。
マンダラチャートが完成すると、1つの目標に対して64個以上の具体的な行動、アイデアが明確になるため、行動計画の質を高めるとともに、目標を達成しやすくなります。
・中央のマス :目標(1マス)
・中央の周囲 :目標達成のための取り組みテーマ(8マス)
・テーマの周囲 :各テーマにおける具体的な行動・施策(8テーマ×8マス)
マンダラチャートを作成するメリット
マンダラチャートには欠点:作成時の注意点もありますが、作成のメリットはたくさんあります。マンダラチャートのおもなメリットを紹介します。
目標達成の方法を洗い出せる
マンダラチャートは1つの目標に対して8つの取り組みテーマ、64個以上の具体的施策やアイデアを書き出すため、目標達成に向けた行動や施策が多数書き出され、質の高い行動計画作成につながります。
また、計画を実施している最中につまずいてしまった場合も、マンダラチャートを確認することで追加施策や二の手、三の手を打つことが容易になるでしょう。
質の高い行動計画を作成できる
マンダラチャートは質の高い行動計画を作成するためにも効果的です。マンダラチャートを使わずに行動計画を作成した場合、頭の中で実践思考を考えることになるため、どうしても抜け漏れが生じやすくなります。
また、思いつきやすい基礎思考だけにとどまってしまい、具体性に欠ける行動計画になりがちです。
一方、マンダラチャートを使えば数多くのアイデアを洗い出すことができるため、施策の質が高くなることはもちろん、いきなり行動計画を作成するよりも施策の抜け漏れなどが生じにくくなります。
新しいアイデアの発見につながる
マンダラチャートは81マスをすべて埋める必要があるため、目標達成のための施策を集中して考えなくてはなりません。したがって、普段思いつかないようなアイデアをひねり出すことができます。
また、8つのテーマ、64個のアイデアという形で順を追って展開していくので、新しいアイデアだけでなく、既知の手法や施策などの抜け漏れも生じにくいでしょう。
作成方法がシンプルなため導入しやすい
マンダラチャートには細かなルールはなく、ルールは81マスをすべて埋めることのみです。作成方法は、基礎思考から実践思考へと順を追って目標達成のアイデアを書き出していくだけなので、マインドマップなど以上に誰でも取り組みやすい施策といえます。
フォーマットはインターネット上から無料でダウンロードできるほか、エクセルなどで自作したり、ペンと紙を使って手書きで作成したりすることも可能です。
思考を整理することができる
マンダラチャートを作成する際には頭の中のアイデアをすべて吐き出し、可視化するため、思考を整理することができます。マンダラチャートは施策をあとから振り返ったり、追加で考えたりする際にも使いやすいでしょう。
https://relic.co.jp/battery/articles/20691#i-2
https://innova-jp.com/mandala-chart/
マンダラチャートの欠点(デメリット)と作成時の注意点
目標達成のアイデアを洗い出すのに有効なマンダラチャートですが、完ぺきなツールというわけではありません。マンダラチャートにはいくつかの欠点も存在しますので、以上を踏まえたうえで活用することが大切です。
効果的に活用するために知っておくべきマンダラチャートの欠点を2つご紹介します。
目標達成に向けた取り組み分野が目標達成に不十分だと品質が落ちる
マンダラチャートでは最初に「基礎思考」を書き出し、それぞれの基礎思考に対して「実践思考」を洗い出していきます。
- 基礎思考・・・取り組みテーマ(8マス)
- 実践思考・・・各分野で取り組む具体的な行動や施策アイデア(8マス×8マス)
マンダラチャートの仕組み上、基礎思考の段階で取り組みテーマに抜け漏れが生じると、抜け漏れた基礎思考に対する実践思考はアクションをリストアップできません。結果的に全体の精度や目標達成の確度がぐっと落ちてしまうことがあります。
慣れなかったり、経験値が足りなかったりすると、目標達成するための要素を思いつく順に記載してしまい、目標達成に十分な要素を網羅していなかったり、必要ない要素を書き出してしまうケースもあります。
また、目標に対する取り組みテーマの粒度やレベルがそろっていないと、そこから実践思考に落とし込むプロセスも難しくなりがちです。
前提知識がないと目標達成の方法論を十分に書き出せない
マンダラチャートの作成に細かなルールはありませんが、81マスすべてを埋めきることが大切です。経験が豊富な人や思考力がある人の場合は、81マスどころか各マスからはみ出して100個以上のアイデアなどを生み出したりもします。
一方で、思考力が十分についていなかったり、設定した目標分野に関する知識が十分になかったりすると、81マスを埋められないことがあります。特に実践思考のアイデアが浮かばず、マンダラチャートがなかなか完成しないことも珍しくありません。
しかし81マスを埋められない場合、初めの施策出しが不十分となるため、次に作っていく行動計画の質も低くなり、目標達成の確度は落ちてしまいます。
そもそも経験値が少なかったり、新たに取り組んだりする領域では、質を担保しにくいというのが2つ目の欠点です。
参考:マンダラチャートの欠点
マンダラチャートをより効果的に作成するためのポイント
前述したマンダラチャートの欠点ですが、ちょっとした工夫で補完することが可能です。マンダラチャートを作成する際には、以下2つのポイントを押さえることがおススメです。
目標達成に対する抜け漏れを補足したり分野の粒度をそろえたりする
マンダラチャートを有効に活用するためには、マンダラチャートの目的や作成方法をしっかりと学ぶことが大切です。
また、初心者が作成する場合は抜け漏れが出やすいので、しっかりと理解している講師や経験者などのアドバイスをもらう、ファシリテーションをしてもらいながら作成するのがおススメです。
マスを埋めきれない場合には周囲の力を借りる
マンダラチャートは個人で作成するものですが、マスが埋まらない場合は周囲からヒントを得ることもできます。特に組織でマンダラチャートを導入する場合には、部署やチームなど、同じ仕事をしているメンバーで一斉に作成するのがおススメです。
そうすると、経験が少ない新人や若手も、先輩やベテラン、トップセールスのマンダラチャートを見ながら作成することができ、抜け漏れを防止したり、81マスをしっかりと埋めきったりすることができます。どうしてもマスが埋まらない場合は、上司や先輩にアドバイスをもらうことも有効です。
「知」を共有する
マンダラチャートに展開された目標達成の施策やアイデアは、各自が持っている知恵やアイデアを言語化したものです。
したがって、組織でマンダラチャートを作成する場合には、作成したマンダラチャートをデジタルデータなどで保存しておくことがおススメです。
過去に先輩や上司が作ったマンダラチャートを保存しておくことで、マスを埋めきれない新人が、自分では持ち合わせていない知恵を参照することができます。
また、計画を実行しながら改善策を考えたいときなども、過去のマンダラチャートを見ればアイデアが広がるでしょう。つまり、マンダラチャートは組織全体の知恵として展開することができるのです。
https://asu-yoku-laboratory.com/mandara-chart
まとめ
マンダラチャートは目標達成にとても有効なツールですが、基礎思考で抜け漏れが生じると大きく品質が下がったり、目標設定した分野に一定の知識がないとマスを埋めきれなかったりといった欠点もあります。
欠点を補完するためにはマンダラチャートの正しい作成方法を学び、上司や先輩の知恵を借りることが大切です。
マンダラチャートには質の高い行動計画を作成したり、新しいアイデアを生み出したり、個人の知恵を組織内に展開することができたりと、欠点以上に多くのメリットがあります。
個人の目標達成はもちろん、組織全体の目標達成にも効果的なので、今回ご紹介した欠点を上手に補完しながら積極的に活用していきましょう。