「二人の経営者のセミナーで参考になったこと」【知見メール202号】

二人の経営者のセミナーから参考になったこと

 

皆様、ジェイックの知見寺(ちけんじ)でございます。

 

上海は、今週の月曜日、7月7日に梅雨明けしました。

日本と比較すると雨が少ないように感じたのですが、地元の方にお聞きすると今年は雨が少ないとのことでした。本来、上海の梅雨はもっと降るようです。

 

日本は、これから台風が直撃するようですので、ご注意ください。

 

先週は、日本に帰国していました。

その際、上海の方をご紹介いただきましたFさんに、御礼を兼ねてお会いしました。

 

そのFさんから、参考になる話しをお聞きしました。

 

社員からアイディアや企画が生まれる風土・仕組みを作ろうとして、ある制度を導入しました。

 

社員同士で、いろいろな商品を企画して、制度事務局に申請をすると、商品化のために最大で500万円まで支出してもらえます。

 

その申請には、上司の承認は必要ありません。また、事務局には担当者が一人いるだけで、その人の決裁で全て進んでいきます。ですから、役員もどんな商品の企画があるのか、年1回の発表会があるまで知りません。

 

但し、この商品の企画・開発は、業務時間外でやる前提となっています。

 

実際に、この制度発で、商品がいくつも発売されたそうです。

 

Fさんは、この制度のポイントは、上司の承認も必要なく、上司を通す必要もないこと、と仰っていました。

 

社員の自発性を高め、組織の活性化に繋がる面白い制度だと思いました。

 

 

さて、今回は、上海で開催した、お二人の経営者のセミナーから参考になったことをご紹介します。

 

お一人目は、上海丸協運輸の神並総経理です。

神並さんは、1995年から中国に赴任され、20年近く中国でビジネスを行っていらっしゃいます。

2001年より、転職され現職に着任されました。

 

着任早々、8割の売上を占めて顧客との取引がなくなる事態に直面します。

中国人従業員は、会社が倒産するのではないかと動揺していました。

その時、神並さんは、

「心配するな。私は黒字にする方法を知っている。そして、その方法は2つある。

すぐに黒字にする方法と、3年で黒字にする方法だ。

すぐに黒字を出す場合には、仲間が減る、トラックも減る。

3年で黒字にする場合には、仲間は減らないが、給与は上がらないし、賞与も3年間はでない。

どちらにするのか、みんなで決めてくれ。」

と、中国人社員に選ばせました。

 

中国人社員は、3年後に黒字にする道を選び、給与は上がらない、賞与ゼロの中で頑張り続け、見事黒字を実現します。その後の業績は、右肩あがりです。

 

神並さんは、

「期待に応えようとする力は、日本人より中国人の方が大きい。

本気で期待すると本気で返ってくる。」

と断言していました。

 

また、質疑応答で、

「上手く行かないことやトラブルが続いたときなど、どうモチベーションを維持していますか?」

との質問には、

 

「モチベーションを落としている間がないです。

事業計画以外に夢を社員と共有しています。

その夢は、『上海のもの、日本のものを中国全土に届ける』というものです。

沿海部は良いですが、まだまだ、中国には物流網が整備されていないところがたくさんあります。

上海のよいもの、日本のよいものを、中国のどこにでも届けられるようにしよう、と大きな夢を社員に約束しています。その社員との約束を果たすために、考えること、やることは次々と出てきます。

悩んだり、落ち込んでいられないです。」

とお答えになりました。

 

まさに、ミッション経営をすね。

 

お二人目は、しんせん館を経営している石橋CEO。

しんせん館は、中国全土で日系スーパーを70店舗超、展開する食品製造・販売をしている会社です。

上海にいる日本人で、しんせん館を知らない人はいないと思います。

石橋さんは、単身、中国に1999年に乗り込んで事業をスタートしました。

 

質疑応答で、

「現在の日中関係は大変な逆風だと思うのですが、今後の中国でのビジネスをどうお考えですか?」

と質問がありました。

 

石橋さんの回答は、

「中国に来てから、サーズ、鳥インフルエンザ、反日デモなど、逆風なことはいろいろとありました。

まず、ひとつ言えるのは、うちは中国で始めた会社ですので、日本に戻るところがありません。

撤退するという選択肢がそもそもないので、中国で頑張ってやり続けるしかないんです。

 

また、実は、逆風なことがあっても数字が落ちることがなく、むしろその時期に伸ばしています。

競合が減るもしくは撤退すると、良い場所の物件に入りやすくなったり、家賃が安くなるので、チャンスです。ですから、うちは世間が悪いと言われている時に店舗数を増やしています。」

 

懇親会では、石橋さんは次のことも仰っていました。

「日本は、白と黒の間のグレーが狭いが、中国は、白と黒があって、その間のグレーが一番大きい。そのグレーをどううまく使うか、楽しむくらいだと事業が上手く行く。
例えば、食品を製造する許可のカテゴリーに「鮨」はない。もし、「鮨」で許可を取ろうとすると延々時間が掛かって、いつ取れるかわからない。だから、しんせん館では、「鮨」は、ご飯と切り身からできるので、お弁当やおにぎりのライセンスと刺身のライセンスを取って、「鮨」を出している。
また、グレーが広いからこそ、中小企業が成長発展できる余地がある。日本で、大手資本に勝つためにはよほどの何かが必要だが、中国だと大手企業は、コンプライアンスの関係でグレーのところには入ってこられない。そこで中小企業は勝負すれば良いと思う。」

 

覚悟をもって経営に取り組まれた方のお話しは、いつも刺激になります。

 

お薦めのお店は、「品川」 上海市桃江路×鳥魯木斉中路にある四川料理 美味しいです

http://www.shanghainavi.com/food/166/

著者情報

知見寺 直樹

株式会社ジェイック 取締役|上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 副董事長

知見寺 直樹

東北大学を卒業後、大手コンサルティング会社へ入社。その後、株式会社エフアンドエム副本部長、チャレンジャー・グレイ・クリスマス常務取締役等を経て、2009年ジェイック常務取締役に就任。総経理として上海法人(上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 )の立ち上げ等を経て、現在はHumanResourceおよび事業開発を担当する。

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