レジリエンスとは?折れない心の鍛え方と高めるための6つの要素

2020/12/25

目まぐるしく変わる状況の中で奮闘するビジネスパーソンは、日々大きなストレスにさらされています。メンタルの不調を予防し、組織の競争力を強化していくためには、一人ひとりがストレスに対処する必要があります。

ストレスに対応しながら成果を上げるためのスキルとして、いま注目されているのが「レジリエンス」です。ストレスをなくしたり我慢したりするのではなく、ストレスや困難を受け止めて跳ね返し、適応・回復していくという考え方です。

記事では、レジリエンスの定義や意味、レジリエンスの向上に有効なトレーニング方法を解説します。

<目次>

レジリエンスとは?定義と定義

レジリエンスとはどのような概念か、まずは定義や意味を確認したあと、いまレジリエンスが注目されている背景を説明します。

 

 

レジリエンスの定義と意味

「レジリエンス(resilience)」とは、元々「反発性」や「弾力性」といった意味を持つ言葉です。元々は物理学の専門用語でしたが、現在は心理学の領域でも使われるようになりました。

 

ビジネス領域では、レジリエンスは「仕事におけるストレスや困難を受け止めて跳ね返し、適応・回復していく能力」を指します。「反発性」や「弾力性」という意味が転じて、ストレスに対して「折れない心」「しなやかな心」という意味で使われているのです。

 

レジリエンスは、たとえるなら「柔軟なヤシの木」のようなイメージです。強い風に吹かれてもポキっと折れず、しなやかに受け止め、風を受け流し、立ち直ることが出来ます。

 

 

レジリエンスが必要とされる背景

現代のビジネスパーソンは、日々大きなストレスにさらされています。IT化が進む中、日々の業務内で処理する情報量は10年前と比べても圧倒的に増加し、求められる対応スピードもアップしました。さらに、ITやAIの発達により単純労働は減り、感情労働や創造的な仕事がより多く求められるようになっています。

 

また、これらの状況と相関があるかは分かりませんが、適性検査等におけるメンタルヘルスの発生率も高まっており、働く人がメンタルの病にかかるケースも激増しています。

 

一方で、いまのビジネス環境の中で、日々のストレスをなくしたり、まったく感じないようにしたりするのは無理なことですし、ストレスに「耐え続ける」ことにも限界があります。

 

何とかして我慢しようとする人ほど、ある日突然折れてしまうことがあります。一方、ストレスをしなやかに受け止めて受け流していくような柔軟な思考を身に付けておけば、強いストレスに直面しても圧倒されずに済みます。

 

働く社員のストレスに対して手を打たないといけないという状況の中で、上記のような「耐える」のではなく、「しなやかに受け止めて受け流す」レジリエンスのスキルに注目が集まっています。

 

 

レジリエンスとストレス耐性の違いとは?

レジリエンスとよく並べて語られるのが、ストレス耐性という概念です。ストレス耐性は、「ストレスにどれくらい耐えられるか」の度合いを指します。

 

レジリエンスが、物事の捉え方やスキルによってストレスをしなやかに受け止めて、跳ね返していく力であるのに対して、ストレス耐性はストレスを我慢し、耐える力を指します。

 

ストレスに対応する力という意味では同じですが、ストレスへの向き合い方という点で、両者はまったく異なります。

 

また、後天的に鍛えていけるかどうかも、両者の相違点です。ストレス耐性は、本人の気質や性格によってある程度決まってしまう性格特性です。一方でレジリエンスは、自分の思考や感情、行動のパターンを知り、適切にコントロールする方法を学ぶことで、誰でも後天的に高めることが出来るスキルです。

 

レジリエンスを高めるメリットとは?

レジリエンスを高めることで、大きく3つのメリットが手に入ります。3つのメリットは個人としても、組織としても、得たいものでしょう。

 

 

目標達成力が高まる

高いレジリエンスを身に付けると、目標を追う過程で困難な状況が発生しても、負けずに立ち向かうことが出来ます。

 

仕事は問題解決の連続です。仕事が計画通りに進まなかったり、問題が生じたり、成果が上がらなかったりすることはいくらでも生じます。また、顧客に対峙する販売や営業、接客などであれば、クレームやトラブルといった問題も生じるでしょう。

 

これらの問題が生じたときに、人はストレスを感じます。ストレスを感じること自体は当たり前の生理反応です。そこで、「ストレスを上手く受け止めて早く切り替える力」がレジリエンスです。

 

レジリエンスを高めることで、自分が持っている力を目標達成に向けてコンスタントに発揮することが出来ます。

 

 

変化に追従できる

市場の変化、顧客ニーズの変化、法律や規制の変化など、組織を取り巻く環境は常に変化していきます。既存のビジネスモデル、戦略が今後もずっと通用するとは限りません。最近では、IT化やパンデミックなどの影響で、外部環境の変化スピードがさらに上がっており、変化に素早く対応する必要性も増しています。

 

人にとって変化とは、じつは生理的なストレスです。しかし、レジリエンスの力で変化によるストレスを上手く受け止めて受け流すことで、変化を多角的に見て判断したり、変化のポジティブな面を発見したりして、柔軟に対応できるようになります。

 

組織の中にレジリエンスが高いメンバーが増えると、組織の変化対応力も増していくことでしょう。

 

 

メンタルヘルスの問題が少なくなる

前述の通り、対応すべき情報量の増加や求められる対応スピードが上がる中で、組織のメンバーにとって、メンタルヘルスの問題は切っても切り離せないものとなっています。精神的な健康を維持することは、個人にとっても、組織にとっても、非常に大切な問題です。

 

レジリエンスを高め、単に「耐える」のではなく、「主体的にストレスを受け止めて跳ね返せる」ようになることで、メンタルヘルスの問題は大きく減少することでしょう。

レジリエンスの向上に有効な7つの能力

レジリエンスは、後天的に鍛えられる能力(スキル)です。

 

レジリエンスを噛み砕いていくと、物事の捉え方や思考のクセ、感情のコントロール能力など、メンタルを健全に保つためのいくつかの能力に分解されます。レジリエンスを高めるために有効な7つの能力を紹介します。

 

 

1. メタ認知力

自分自身の思考や感情、行動、生理的反応、また、出来事に対する自分の解釈、感情や行動を客観的に分析する力です。メタ認知を働かせると「自分を客観的に見る」「自分をもう一人の自分が見る」状態を作れます。

 

 

2. 自己コントロール力

理性を働かせて、思考や行動を変えられる力です。私たちは生き物ですので、感情や生理的反応を変えることは困難です。しかし、メタ認知を高めて、適切な方法を知ることで、感情や生理的反応に流されず、理性を使って思考や行動をコントロールできます。

 

 

3. 現実的楽観性

現実的楽観性とは、物事にポジティブな側面を見出し、未来に期待する力です。単なる「楽観主義」や「ポジティブシンキング」とは異なり、そのうえで、自分が影響できるものにフォーカスして、物事を実現させるために行動を起こす力を指します。

 

楽観主義が「何とかなる」だとしたら、現実的楽観性は「何とか出来る」と表現できるかもしれません。

 

 

4. 精神的柔軟性

一つの物事をさまざまな側面から見て、柔軟に考えられる力です。先ほどの現実的楽観性も精神的柔軟性の一つといえるかもしれません。自分の立場、相手の立場、第三者の視点、悲観的な視点、楽観的な視点など、さまざまな視点から物事を見ることで、さまざまな可能性が見えたり、現状を客観的に捉えたりすることが出来るでしょう。

 

 

5.キャラクター・ストレングス(強みの活用)

キャラクター・ストレングスは、自分の強みを活用して、能力を最大限に発揮して、成果を上げる力を指します。キャラクター・ストレングスを磨くには、“自分の強みを自覚する”こと、そして、“強みを成果に結びつける方法を知る”こと、2つのステップが必要です。

 

 

6. 関係構築力

人と信頼関係を築き、維持する能力です。ストレスを受け止めて乗り越えるうえで、周囲とのコミュニケーション、周囲からの支援は大きな助けとなります。普段から周囲との間に信頼関係を作ることが大切です。相手の言葉を受け取り、同時に適切に自己主張するアサーション・スキルが役立つでしょう。

 

 

7. 主体性

主体性は「自分の人生に対する当事者意識」ともいえます。自分の力を信じて、自分の人生を自分自身で切り拓こうとする意思です。現実的楽観性を働かせるうえでも、外部の環境や刺激の中で、自分が出来る範囲で物事を動かそうとする主体性が大切です。

レジリエンスを高めるトレーニング方法

先ほど紹介した7つの能力を高めるうえでも役に立つ、レジリエンスを高めるトレーニング方法を5つご紹介します。

 

 

メタ認知とセルフコントロール技術の習得

レジリエンスを高めるには、ストレスに直面した際に、自分の行動をいかにコントロールするかが大切です。

 

私たちは生き物ですので、外部からの刺激に生理的反応が生じたり、感情が動いたりすることは自然です。従って、「負の感情を無理やり抑え込んで耐える」といったことはあまり適切ではありません。

 

それよりも「物事を適切に捉えて、適切に意味付けできる」ようになりましょう。そのためには、物事の捉え方や解釈の仕方を意識的に変える訓練をするのが効果的です。こうした訓練は、認知的アプローチとも呼ばれます。

 

また、自分の状態や物事を客観的に捉えて(メタ認知)、ネガティブ感情から抜け出す技術も習得すると良いでしょう。自分に合った気晴らしを見つけて、意識をほかのことに向けたり、行動をコントロールしたりする練習をします。例えば、集中力が欠けていたり、気持ちが落ち込んでいたりすることに自覚的になり、身体を動かすといったことも有効です。感情をコントロールするのではなく、行動をコントロールすることを意識しましょう。

 

メタ認知と認知的アプローチのトレーニングを掛け合わせて、「ネガティブな方向に自分を誘導している思い込み」を疑ったり修正したり出来ると非常に強くなります。

 

例えば、以下のようなイメージです。

 

クレームを受けて落ち込んでいる

→ 自分の価値が下がった、自分が否定されたように感じており、落ち込んでいる

→ 実際には自分の「行動」に対してダメ出しをされているだけで、自分自身の価値とは関係ない。行動を改善すればいいだけだ(思い込みへの気づきと修正)

 

 

自己効力感の強化

自己効力感、つまり自分の能力やスキルに対する自信や確信を高めていくと、レジリエンスも高まります。

 

自己効力感を高めるには、「努力して成功した」「自分の力でやり遂げた」という成功体験を積み重ねることが大切です。

 

仕事を細分化することで、小さな成功を積み重ねていくようにしたり、良い行動を習慣化したりすることが、自己効力感の強化に効果的です。

 

また、組織をマネジメントする立場であれば、メンバーへの声掛けや評価、ポジティブなフィードバックも相手の自己効力感を強化する働きかけになります。

 

 

ビジョンや目標の設定

自分の大切な価値観を見つめ直したり、将来のビジョンを考えたり、ビジョンを達成するための具体的な目標を設定したりすることも、レジリエンス向上に繋がります。

 

とくに自分の価値観やビジョンと仕事が結びついて、仕事の意義や目的、キャリアに紐づくと、仕事上のレジリエンスが大きく高まるでしょう。

 

中長期的な価値ある目標があることで、主体性を発揮することが出来ますし、短期的な成功や失敗に一喜一憂せずに困難を乗り越えて行動することが可能になります。

 

 

関係構築力を高める

レジリエンスに繋がる関係構築力を高めるためには、テクニック的にコミュニケーションスキルを習得するよりも、まず人間関係の根本的な姿勢を見つめ直すことが大切です。自分がどのように他者と向き合っているかを分析することから始めて、次に、理想の人間関係はどのようなものかを考えましょう。

 

そのあと、理想の人間関係を築くという目的のもとで、個別のスキルを鍛えていきます。例えば、適切な自己主張(アサーション)、傾聴、自己(他者)承認などに目を向けるのがおすすめです。

 

 

外部研修の活用

レジリエンスは目に見えない概念であり、また、「ストレス解消法」のようなテクニック的なものではなく、より深いところにある物事の捉え方や向き合い方です。従って、プロによる研修を活用することも、レジリエンスを効果的に高めるための選択肢です。

 

体系だった外部研修を活用することで、主体性や精神的柔軟性、キャラクター・ストレングス、メタ認知、自己効力感など、レジリエンスを鍛えるために求められる共通スキルを確実に組織に浸透させられます。

まとめ

対応しなければならない処理量の増大や求められる処理スピードが上がる中で、ビジネスパーソンにとってストレスとの上手な付き合い方は必須スキルです。

 

そんな時代背景の中で、ストレスを上手に受け止めて跳ね返す能力として注目されているのがレジリエンスです。レジリエンスを高めることで、目標達成に向けた切り替え力UP、変化対応力の増強、メンタルヘルスの予防などの効果が見込めます。

 

レジリエンスは後天的に鍛えることが出来るスキルです。記事で紹介したレジリエンスを構成する7つの能力、また能力を鍛える5つのトレーニング方法を実践することで、ぜひ自身の、また組織メンバーのレジリエンスを高めてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック 取締役 HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等

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