2年目社員の定着率を高め、早期離脱と離職を防ぐ方法

2020/10/26

多くの会社において、入社初年度の初期研修(新入社員研修)は力を入れて行ない、また入社3年目には“1人前になる”タイミングとして、振り返りやキャリアプラン研修などを行なわれる一方で、“入社2年目”は、ぽっかりと研修が実施されない状態となっています。

 

現場へ配属されて徐々に仕事を覚えた2年目に1年目ほど濃厚な研修を行なう必要はありません。しかし、じつは入社2年目というのは、「入社1年目のようなケアが行なわれなくなる」かつ「良くも悪くも考える余裕が出てくる」ために、離職が多いタイミングとなっています。

 

15~20年ほど前は入社1年目の離職率が高く、2年目・3年目になるとある程度定着が進む状況でしたが、この傾向は変わりつつあります。直近、平成29年度入社の大卒をみると1年目の離職率が11.5%、2年目の離職率が11.4%*と、1年目も2年目もほぼ同じ比率で退職が生じています。

 

記事では、2年目社員の退職理由と退職を防ぐ方法のポイントを解説します。2年目社員の退職は、少し仕事を覚えて馴染んでいるだけに組織にとっての悪影響も大きくなります。せっかく採用した新人をしっかりと1人前にするために参考になれば幸いです。

 

*厚生労働省(新規学卒者の離職状況調査)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html

<目次>

2年目社員が定着しない!? 2年目で離職を考える3つの理由

若手社員の離職は、入社して1年目、2年目、3年目、どの年次での離職かによって、転職理由が変わってきます。

 

まず、1年目と2年目で考えてみます。 1年目で離職をする場合の多くは、「仕事が合わない」や「会社が合わない」といった理由であり、入社前の想像と現実のギャップで生じる“リアリティ・ショック”の大きさが大きな引き金になります。一方で、リアリティ・ショックを超えた2年目社員の離職理由は1年目とはまた異なります。この章では2年目社員が定着せず、離職してしまう3つの大きな理由を紹介します。

 

 

2年目社員の離職理由① 成長実感がない

2年目になると、仕事に少しは余裕が生じてくる中で、社内の同期はもちろん、社外の同年次と自分の「比較」をし始めます。2年目になると、仕事を任されて、成果目標を持つ中で、社内でも同期内の差が徐々にはっきりしてきます。この時、同期と比べて成果を上げられていない、成長できていないと感じると、「自分はこのままここにいていいのだろうか?」と不安が生じるようになります。

 

また、近年では、ネット上の記事などを通じて社外の同年次との比較することも増えています。当然ですが、ネット上の記事やtweetの大半は“うまくいっている話”です。当然、隣の芝生は青く見える状態に陥りやすくなりますし、自社の環境や自分の成長実感に不安を持つことが増えるでしょう。

 

“成長できていないのではないか”、“いまの環境では成長できないのではないか”という不安は、 本人にとって大きな悩みであるにも関わらず、周囲はそのことに気が付きにくい側面があります。なぜならば、 「自分が成長できていないのではないか?」「いまの環境は十分な成長環境なのだろうか?」という不安は上司や先輩に相談しにくい内容だからです。

 

例えば、 「私は成長できていないのではないかと悩んでいるんです」と上司に相談したとしましょう。そうすると、「お前の努力が足りないからじゃないか」などの否定的なフィードバックが返ってくる可能性もあります。また、“成長環境”に関する相談は会社への不満や愚痴に聞こえるのではないかとも思うでしょう。

 

このように否定的なフィードバックが返ってくることを想像して相談を躊躇してしまうため、上司や先輩は悩んでいることになかなか気づきません。そして、悩みが不安や不満となり、それが溜まり溜まった時点で離職に繋がってしまうのです。

 

 

2年目社員の離職理由② 仕事がきつい、自分の時間がない

仕事の負担や時間的な制約について考え始めるのも2年目です。仕事を覚えることだけで精いっぱいだった1年目と比べて、2年目は少し仕事を覚え、また、任される仕事も増えてきます。

 

任されることは自分の力が認められた証であり、嬉しいと思う気持ちも生じるでしょう。しかし、その一方で任される仕事が増えれば、労働時間が長くなり、自分が自由に出来る時間は少なくなりがちです。1年目はまだ仕事を覚える段階で、成果を上げることはそこまで強く求められず、勤務時間にも周囲が気を配ってくれていました。しかし、2年目になると成果を上げることが求められますし、1年目のように周囲が気を使ってくれることは減ります。

 

その中で、(客観的にどうかは別として)仕事量が多い、勤務時間が長い、自分の仕事がない、と徐々に感じ始めると、「本当にこの状態でずっと仕事を続けていくのか?」と考えはじめて不満が生じます。結果、自由に過ごせる時間のない生活を想像して嫌気が差し、最終的に離職に繋がるケースです。

 

 

2年目社員の離職理由③ 社風が合わない

2年目社員の離職理由、最後の一つは“社風が合わない”です。2年目の場合は、1年目のリアリティ・ショックのような大きなギャップが生じているわけではありません。ただ、成長実感や自分の時間を考え始めるのと同じように、少し日々の業務に慣れてきた2年目は、他のことを考える余裕が生じます。

 

その中で、ふと会社(職場)の風土や会社が目指す方向と、自分が求めていたことがリンクしていないことに気づくと、違和感はどんどん膨らんでいきます。とくに風土や目指す方向というのは価値観であり、日々の意思決定の基準です。従って、一度は忘れたとしても、会社や上司の判断基準に接する中で、何度も浮かび上がってきます。

 

現実に、会社の目指す方向や判断基準、風土が自分の価値観と100%合うということはなかなかありません。ただ、その中でも「組織のミッションやバリュー」と「自分の譲れない想いや価値観」が一致するか、ということが大切です。しかし、そこまで考えずに、合わないところだけに目を向けて、社風が合わないと勝手に見切ってしまって離職を決めてしまう繋がるケースです。

 

もちろん、すべての退職が悪いわけではありません。本人のキャリア、組織と本人のwin-winを考えて場合に退職が有効な場合もあります。一方でフォローアップすることで防げる退職、客観的には見れば退職する必要がないケースがあることも事実です。適切なフォローアップをすることで、防げる退職を防ぎ、組織力を高めていきましょう。

 

 

3年目社員の離職防止を考えるうえでも大切な2年目のフォローアップ

3年目社員の場合は、上記3つの離職理由の中でも、成長実感という観点、「キャリアップへの展望」という形でより強く表れてくることが多いです。キャリアアップには、「自己成長・成長実感や展望」という面だけではなく、物理的な「昇格や昇給」、「部下や後輩の有無」なども含まれてきます。

 

だからこそ、多くの会社で3年目には「ライフプラン研修」や「キャリアプラン研修」など将来への展望を描くことで、リモチベートするような研修が多く行なわれるわけです。

 

一方で、2年目でモチベーションダウンして躓くと、成長スピードが低下して、3年目で物理的に待遇を上げたり、次の仕事や機会を任せたりすることが難しくなります。従って、3年目の定着を改善するためにも、2年目のフォローアップをしっかりと行なうことが大切です。

2年目社員の定着率を向上させるために考えるべき3つの観点

前章では“離職原因”を解説しましたが、離職理由を踏まえて、2年目社員の定着率を向上させるためには、どのような対策をするのがいいのでしょうか。定着を考えるうえでは大切な3つの観点を解説していきたいと思います。

 

 

2年目社員の 定着率向上を考える観点① 誰が行なうか?

2年目社員のフォローアップは誰が行なうのが良いでしょうか。もちろん、人事、職場の上司、OJT担当者という3者、また、メンターやブラザーシスターが連携して関わることが重要ですが、その中でも、主体となったほうが良いのは「上司」です。

 

H4:人事ではダメなのか?

人事は、よほどのことがない限り、配属後の状況を細かく把握できているケースは多くありません。また、直接のレポートラインではありませんので、本人から相談を受けても、実際の現場における仕事や対応に反映することは困難です。

 

一方で、人事は、“現場での指導等に関する人間関係がない”ことが強みです。従って、2年目研修や人事面談などを通じて、「off-JTでの振り返りを通じた成長実感の獲得や仕事の意味付け、内省」、また、「人間関係がないからこそ話しやすいことを活かした社員の状況把握」が主な役割です。

 

H4:OJT担当者ではない方がいい理由は?

OJT担当者ではどうでしょう。実際の現場で指導にあたっているOJT担当者はフォローアップに向いているように見えます。しかし、ここに落とし穴があります。実際の現場で指導にあたっているという上下関係があり、かつ人間関係があるからこそ、本人からはOJT担当者には悩みを相談しにくい、本音を言いづらいのです。

 

また、OJT担当者は多くの場合、まだマネジメントポジションにはなく、現場メンバーであることも多いでしょう。そうなると、悩みを聞いても、アドバイスや解決策を提示・実行できないことが多くなります。そうすると、悩みに同調してしまうだけで終わってしまうケースも出てきます。OJT担当者は業務の指導にフォーカスする、そのうえで、「接点が多いからこそ把握できている情報やOJT担当者としての視点」を上司に共有する形が良いでしょう。

 

H4:上司が最適な理由

従って、ある程度現場のことを理解しており、そのうえで現場に影響を及ぼせる上司が、人事やOJT担当者から情報を得ながらフォローアップする形が2年目社員の定着率向上を考えるうえでは最適です。とくに、現場での仕事分担に裁量を持っていたり、キャリアについて伝えたりすることが出来るのは上司の強みです。

 

また、マネジメントポジションにある上司が若手社員のフォローアップに関わることで、OJT担当者の力量を把握したりケアしたりすることが出来ます。例えば、上司がフォロー面談した2年目社員から聞いた内容と、OJT担当者から聞いた内容に違いがある場合、OJT担当者の指導力に疑問符がつくこともあるでしょう。そのようにOJT担当者の力量把握やケアをするうえでも、上司がフォローアップにあたるのが最適です。

 

なお、メンターやブラザーシスターに関しても人事と同様です。人事以上に「職場での指導」には関係を持たないからこそ、本人が本音を話しやすいのがメンターやブラザーシスターです。従って、解決よりも本音の把握、聴くことによるケア、がメンターやブラザーシスターの主な役割と考えると良いでしょう(メンターの場合には経験がある分、アドバイスも期待できます)。

 

 

2年目社員の定着率向上のためのポイント② どのタイミングで行なうか?

どのタイミングでフォローするかも重要です。 フォローを行なううえで最も重要なタイミングは、「2年目を迎えてから3ヶ月目」です。なぜなら、2年目社員が1年目と2年目の違いを体感して、考え方や気持ち等に変化が現れてくるのが、この3ヶ月目頃のタイミングになります。

 

2年目になると、仕事の進め方や仕事量、求められることは変わります。とくに毎年のように新卒を採用している会社では、まさに4月1日で、“手厚くケアされた1年目”が終わり、組織の興味関心が次の“新入社員”に移ることになります。

 

その状態に入ってから3ヶ月程度が経つと、本人も置かれた環境が変わったことを自覚するようになります。また、ケアが少なくなった中で、仕事量は増えて、求められる成果は明確になる、その中で3ヶ月ほど働いての不満やストレス、疑問も生じてくる頃です。

 

従って、このタイミングで一度フォローアップして、本人の状況を把握して、ケアする必要があれば早めに手を打つことがポイントです。集合研修などを行なう場合にも、3月~7月頃の1年経過~2年目の3ヶ月程度のタイミングで実施して、2年目としての働き方、役割の変化、成長実感の獲得などを整理することが望ましいでしょう。

 

また、もう一つのフォローアップを行なったほうがいいタイミングは2年目の終わりです。このタイミングは2年目社員の離職防止というよりは、3年目への導入です。約2年間仕事をしてきた中で、「自分の思い描いた通り成長できているか」や「自分が描いた仕事の仕方が出来ているか」などの棚卸をして、“2年目を完了する”、そして、“3年目を描く”ことが、2年目の終わりに行なうフォローアップのポイントです。

 

 

2年目社員の定着率向上のためのポイント③ どのように行なうか?

フォローアップは「1:1の面談」で行なうことが基本です。少なくとも1時間ぐらいかけて、他の人には聞こえない、安心して話せる環境で行ないましょう。

 

そして、フォローアップの基本は「聴く」ことです。話す割合は、2年目社員:上司=7:3を意識するようにしてください。2年目社員の感じていることを自由に話させることで状況を把握すること、そして、「自分の思っていることを、考えていることを話して受け止めてくれた」と相手に感じてもらうことが大切です。“フォローアップ=アドバイス”と考えて、上司が話し過ぎてしまうと面談は失敗します。体感としては、「自分(上司)が喋るのは1割!」と思っておくぐらいがちょうどいいでしょう。

 

面談をどんな風に進めるかも、あらかじめイメージしておきましょう。相手との関係性や相手の性格を考慮して、アイスブレイクから入ったほうがいいのか、それとも単刀直入に話したほうがいいのかなど、事前に想定しておきましょう。

 

他には、話すテーマも事前に考慮しておく必要があります。「悩んでいること、ストレスに感じていること」「成長している実感が持てているかどうか」「将来どういうキャリアを築きたいのか」など、どのあたりに重きをおくことが必要そうか事前に準備しておきます。

 

準備するうえでは、OJT担当者やブラザーシスターから情報収集しておくことが大切です。とくにマネジメントする範囲が大きな方になれば、2年目社員の状況を細かく把握している人は多くないでしょう。自分の感覚や噂話で判断することも、事前情報なく飛び込むことも判断を誤る要因になります。入社当初から関わりの深かったOJT担当者やブラザーシスター等から聞いて、彼らから見た状況をしっかりと把握しておくことが欠かせません。

 

終わりに

新人・若手の定着に関する10~15年ほどのトレンドとして、1年目で退職する新入入社員が減り、2年目での離職が増えているというデータがあります。「1年目を乗り越えれば安定できた」過去から「2年目でも多くの若手が離職する」状況に変化しつつあるのです。

 

2年目社員の離職は、1年目のようなリアリティ・ショック(入社前のイメージと現実のギャップ)ではなく、少し仕事に慣れて考える余裕が出てきたからこそ生じます。成長実感のなさ、働き方、社風とのミスマッチなどが主な2年目での離職に繋がる要因です。

 

離職理由を踏まえたうえで、上司を中心にしたうえで、人事、OJT担当者、メンターやブラザーシスターが連携してフォロアーアップにあたりましょう。記事の内容が2年目社員の離職防止を行なう参考になれば幸いです。

 

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック 取締役 HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等

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