2年目社員のモチベーションを高め、退職を防ぐために大切なこと

2年目社員のモチベーションを高め、退職を防ぐために大切なこと

ここ数年、若手の育成に悩むお客様から、「2年目社員のやる気の低下・離職」に関するご相談を多く伺います。2年目といえば、新人としての1年間を乗り切り、仕事も覚え始め、周囲の期待が高まるタイミングです。しかし、「これから戦力化していく大事な時期に、2年目社員が仕事への情熱を失ってしまった」あるいは「離職してしまった」と頭を悩ます経営層や人事の方もいらっしゃいます。

記事では、2年目社員のモチベーションを高めるための接し方や、退職を防ぐうえで効果的な関わり方をお伝えします。

 

<目次>

2年目になると、何故モチベーションがガクンと下がりやすくなるのか?

「2年目を迎えてしばらく経った時期に、若手社員のモチベーションが落ちて不安に感じている」というご相談は経営層や人事の方から定期的にいただきます。モチベーションを下げないためにも、2年目社員の状況を想像することが大切です。

 

例えば、ポジティブな面でいうと、2年目になると後輩も入社してくるので、社会人の先輩として少し誇らしくなり、同時に、身が引き締まる気持ちが生まれます。また、1年目を乗り切り、任されるようになった仕事も増えたことで、自信も生まれ、モチベーションが上がっている人もいます。

 

一方で、新入社員としての1年目は、組織の歓迎ムードがあり、チヤホヤされて過ごした時期でもあります。2年目になると歓迎ムードが一転して、「もう先輩なんだから」と手のひらを返したような扱いを受けたと感じる人も出てきます。

 

歓迎ムードに包まれていた1年目とは異なり、2年目は先輩社員としての自覚も求められるようになります。ついこの間まで手取り足取り教えてくれていた先輩社員も、次の「1年目の新入社員」の面倒をみるのに忙しそうで、声をかけづらくなってしまう、といったことも出てきます。

 

更に、1年目の社員が職場に入ってくると、先輩として、仕事の基本的な流れを教える必要も出てきます。「新人から質問されたら、先輩としてしっかり答えたい」と思いつつも意外と答えられなかったり、上手に説明できなかったりする経験を通じて、思い描いていた先輩社員のイメージと現実のギャップにショックを受ける人も少なくありません。

 

社会人2年目の社員とは、人間の成長に例えると、ちょうど自我が芽生え始めた頃に相当します。1年間の社会人生活を通じて、ある程度仕事の進め方を覚えてくる時期です。しかしながら、まだ自分一人で判断することは難しく、成果を上げるにしても上司や先輩の協力が必要でもあります。

 

少し仕事に慣れて、色々なことを考えられるようになると、余計な考えも出てきます。例えば、「成長できていない」と感じてしまったり、人間関係で悩み始めたり、「このまま会社にいて良いのだろうか」という考えが出てきて、今の仕事を続けることに不安を感じ始める人もいます。一方で、これらの課題は「漠然とそう思う」だけで、明確な課題や進むべきキャリアが具体的になっていない場合がほとんどです。

 

やる気を引き出し、モチベーションを高める3つの方法

モチベーションがガクンと落ちやすい2年目社員に対して、どのように接していけば良いのでしょうか。本章では2年目社員のやる気とモチベーションを高める3つの方法をお伝えします。

 

 

2年目社員のモチベーションを高める方法1:立ち位置を明確にする

企業によって2年目社員の立ち位置は違うと思いますが、2年目の立ち位置がどういうものなのかを明確に示すことは大切です。例えば、「1年目に学んだことを、仕事の中で活用できるようになること」あるいは「自己成長に貪欲であること」といったように、2年目社員に期待することが各社それぞれあるでしょう。

 

しかし、会社における2年目社員の立ち位置がはっきり示されないまま、漠然と時間だけが過ぎてしまうことはよく生じます。1年目社員から2年目社員に切り替わる時期である3月は、多くの企業が繁忙期であり、更に新入社員の受け入れもあり、2年目社員のフォローには時間を割けないことが大半です。更に4月になると新入社員が入ってきて、経営層や人事の関心も、入社した新入社員にいきがちです。

 

一方で、マネジメント層の多くは、2年目社員に対しては、「仕事にも慣れてきた頃だし、そろそろ自分で考えて動けるようになって欲しい」と考えます。つまり、立ち位置の明確化やフォローがされない一方で、無意識のうちに2年目社員の自立を期待してしまうのです。

 

この時、当の2年目社員たちが明確には上記の期待を意識しておらず、「まだまだ自分たちは、周囲の支援を受けなくては」と考えていると、大きなギャップが生まれます。

 

2年目社員に間違った認識を持たせないためにも、「チヤホヤされる時期は終わった。自分で考えて仕事ができるようになる時期である」といったことを、2年目を迎えるタイミングでしっかりと伝えることが大切です。

 

 

2年目社員のモチベーションを高める方法2:チャレンジングな目標を達成させる

今できている仕事のレベルより少し上の目標を持たせることも、モチベーションを高めるうえで効果的です。これは2年目社員には非常に大切なことで、「1年目とは違う」という意識を持たせ、本人からやる気を引き出す方法の一つです。

 

少し高い目標を設定する時には、「今のレベルより高い水準を期待している」ことをしっかり伝えてあげるようにしましょう。そのうえで、2年目になったのであれば「高い目標への挑戦が必要であること」や、「一人で達成するのが大事なのではなく、必要があれば周囲にフォローを求めること」等についても伝えておく必要があります。

 

なお、高い目標を設定するだけで、その後のフォローなく放置してしまうと、期待する成果を出せなかった時に自分を責めてしまい、自信を喪失する結果になるだけです。チャレンジングな目標を設定するのであれば、しっかりとしたフォローもセットで提供して、達成させましょう!

 

なお、チャレンジングな目標設定は、人事評価と切り離して設定したほうが良いでしょう。人事評価の目標と連動させてしまうと、達成できなかった時のダメージが大きくなります。例えば、年間の売上目標として、1,000万円を設定したとします。この場合、「少し上の目標として、例えば1,100万円ぐらいを目安にし、この数字を達成できたらプラスアルファで評価をする。仮に届かなくても、当初の目標である1,000万円をクリアできれば、目標達成できたと評価してあげる…」というようにしてあげると良いでしょう。目標達成に取り組むうえで、余計なストレスを感じる必要もなくなります。

 

上記のように、自分のレベルより少し高い成長ができるような働きかけを行い、成長実感を湧かせるようにしましょう。

 

 

2年目社員のモチベーションを高める方法3:成長したところを明確に伝える

昨今の若手は自分に自信がない人が多く、自己評価も低い傾向にあります。若手の傾向を踏まえ、上司や先輩から成長している点などをフィードバックすることも大切です。

 

フィードバックを行う時に有効なのが、1年前、半年前と比較して、成長できている点について、どの部分がどう変化したのかを明確に伝えることです。「何となく全体的に良くなっているよ」ではなく、明確に成長できているという実感を持たせるような伝え方をすることが肝心です。「1年前は〇〇については、チンプンカンプンで、できることも少なく苦労してたよね。でも今は、△△という点でしっかりと成果を出すところまでいっていて、こういう貢献を組織にできているから助かるよ」と言われて、悪い気がする人はいません。

 

しかし、よく考えてみると、実はしごく当たり前のことで、2年目社員にとっての1年前、半年前というのは、社会人になったばかりなうえに配属された直後で右も左も分からない状態です。その時と比べたらできることが格段に増えているのは当たり前の話です。

 

しかし、他人から客観的に伝えてもらうことでモチベーションは高まります。なお、伝える時は「明確に伝える」という点が大切です。“どの点がどう成長したのか”があいまいなフィードバックだと、かえって不信感に繋がることもあるので、注意が必要です。

 

 

2年目社員のモチベーションを維持し、退職を防ぐための効果的な関わり方

2年目は退職者が出始める時期でもあります。ようやく仕事を覚え始めた社員の退職は周りにとっても痛手ですし、連鎖的な退職に繋がるケースもあるので、慎重なフォローが求められます。2年目社員の退職を防ぐためには、どのような関わり方が望ましいでしょうか。よくある退職理由と紐づけて、退職を防ぐための効果的な関わり方を紹介します。

 

 

仕事がつらい

2年目になると、求められる仕事のレベルが上がり、「結果を出す」ことへのプレッシャーも高まります。もちろんビジネスにおいて結果が求められることは当然です。しかし、結果を出すことに対する意識が甘い若手は少なくありません。まず「仕事を覚える」ことが仕事であった1年目と比べて、急に結果を求められるようになった2年目にギャップを感じて、仕事や会社が嫌になってしまうケースもあります。

 

どのような対処をするのが望ましいでしょうか。結論としては時間を設けてしっかりと相談に乗ることが大切です。「仕事がつらいと感じる理由は何か」、「どう解決すればいいか」、「自分でできることは何で、周囲のどんな協力が必要か」等を一つひとつ丁寧に確認しながら、必要とあればフォローアップを行いましょう。

 

2年目社員が「仕事がつらい」と感じる理由が毎年同じであるならば、事前に手を打っておくことも大切です。3年目~5年目社員に、2年目につらかった時、どうやって乗り越えたのか、聞いてみると良いでしょう。

 

 

今後の待遇、将来の給料への不安

2年目の段階では、まだ「現在の給料」にはそこまで敏感でないことが多いでしょう。もちろん、長時間労働が常態化しているような会社では、社員も「毎日こんなに遅くまで働いて、この給料か…」と思いやすいですので、改善が必要です。

 

2年目社員、あるいは3年目から5年目ぐらいの社員が考え始めるのは、「将来の待遇(給料)」や「キャリア」です。今の会社で長く働くことを前提としつつ、「数年後にはどれぐらいの給料がもらえるか?」を考え始めるのが2~5年目ぐらいです。

 

こうした考えを持ち始めた2年目社員に対しては、本人の希望も踏まえたうえで、「希望する給料や待遇を得るにはどのような働きや貢献をすれば良いのか」を話していきましょう。そして、当たり前のことですが「自分の希望を叶えるためには、まず仕事で成果を上げることが大事」という現実を、本人にしっかり伝えるようにしましょう。

 

自社の給与体系とかけ離れた収入を希望する社員がいた場合はどうでしょうか。本当に優秀で前代未聞の活躍が期待できそうな2年目社員であれば、成果を出した際にはきちんと評価する旨を伝えたり、昇進等した場合の実際の給与体系を見せたりすれば納得してくれることも多いものです。

 

一方で、現実には業務内容や自分の貢献利益を分からずに、何となく言っている2年目社員も多いものです。頭ごなしに否定するようなコミュニケーションを取るとモチベーションが落ちてしまいますので、労働生産性や粗利の概念から教えてあげて、「現実」をしっかりと見せたうえで、「希望」を叶えるための必要水準を示すことが良いでしょう。

 

 

人間関係に悩んでいる

部署内の人間関係で悩んでいるならば、分かりやすい解決策としては部署異動が挙げられます。しかし、会社規模によっては異動先が限られますし、人間関係がうまくいかない理由が本人にある場合、必ずしも部署移動が適していないケースも多いでしょう。

 

この場合は、本人に自分のコミュニケーションを認識させることが効果的です。自分のコミュニケーション状況をしっかり認識しておかないと、部署異動したとしても、また同じ人間関係の悩みを抱える可能性が高くなります。結果として、再び部署異動の検討が必要になるなど、根本解決にはならず、退職に至ってしまいやすいでしょう。

 

人間関係は本人のコミュニケーションで大きく変わります。本人のコミュニケーションが改善されれば、現状が大きく好転することも十分期待できます。人間関係で悩んでいる2年目社員はもちろん、特に悩んでいない2年目社員に対しても、2年目というタイミングで、コミュニケーションや人間関係のスキルを学ばせることは、非常に有効です。

 

特にコミュニケーションスタイルやストレングスファインダーなど、コミュニケーションや強みの傾向や違いが客観的に捉えられるような研修を行うと、人間関係の改善に繋がりやすいでしょう。

 

なお、人間関係の悩みは上司や指導者側に責任の一端がある場合も多いでしょう。本人だけの責任にせずに、上司や指導者側も巻き込んで、人と人の「間」にあるコミュニケーションの問題を解決しましょう。

 

おわりに

2年目社員は、仕事を覚えてきて後輩も入ってくることでモチベーションが上がる部分もありますが、一方で「新入社員」として歓迎される時期が終わり、「仕事を覚える」から「成果を出す」ことが期待される中で、モチベーションを落とす社員もいます。

 

2年目社員のモチベーションを高めるためには、立ち位置の明確化、少し背伸びした目標設定と達成、フィードバックによる成長実感の獲得などがポイントです。また、退職要因になりえる「仕事がつらい」「将来の待遇や給与への不安」「人間関係」といった点にも目を配ってケアすることが大事です。

 

2年目を乗り越えることができれば、3年目以降の活躍にも弾みがつきます。新入社員としての1年目、また節目となる3年目のフォローを重視する会社は多いですが、2年目社員に目を配ることも忘れてはいけません。2年目を迎えた時期を逃さず、3年目以降の飛躍に向けて、フォローアップしていきましょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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