新人教育の目標の立て方とは?即戦力化を加速させる設定方法とポイント

2020/03/31

新人教育の目標の立て方とは?即戦力化を加速させる設定方法とポイント

新人教育を行う際には、目標の立て方が重要です。特に社会経験のない新卒社員を教育して、早期に戦力化するためには、適切な目標設定が不可欠です。記事では、新人教育における目標設定の重要性やメリットを確認するとともに、具体的な目標設定のポイントを解説します。

<目次>

新人研修の目標を設定する目的と重要性

採用活動を行う目的は、組織の成長や事業計画の実現です。従って、採用した新卒社員や中途採用の社員には一日も早い戦力化が望まれます。しかし、無理に“戦力化”のプレッシャーをかけることは、早期離職に繋がります。だからこそ、「適切な目標設定」が重要になります。この章では、新人教育で目標設定が重要である理由を確認しましょう。

 

 

目標はゴールである

新人研修における目標設定とはゴールの設定です。ゴールをきちんと設定・共有しないまま、教育プログラム設計を行っても、“教えたほうがいい”ものを羅列していくだけになってしまいます。また、教育や研修を「実施すること」が目的となってしまい、本来習得すべきスキルやマインドが身に付かなくなることもあり得ます。

 

 

目標があるから、「現状」を振り返れる

ゴールである目標を設定することで、目標地点と現在地点を明確にすることが可能になります。ゴールと現在地の把握は教える側にとっても重要ですが、新人にとっても重要です。新人研修の最終的なゴールは「1人前となり活躍する」ことです。教わる側の新人にとっても、なるべく早く達成したい目標と言えるでしょう。

 

目標を設定することによって現状の進捗状況を「見える化」でき、どの程度でゴールにたどり着くのか、現状の課題は何なのか、また、これまでの研修を通してどのような力を身に付けたのか、などを知ることができます。

 

逆にいえば、目標が設定されていない状態で新人教育を受けることは、“終わりのないマラソンを走っている”状態です。“ゴールまで後どのぐらいあるのか”、“今どれぐらい来たか”が分からないまま、マラソンを走るとしたら、心理的な大変さはいかほどのものでしょうか。

 

目標設定することで、現状が分かり、ゴールまでの距離が分かるようになることは、モチベーションを生み出します。

 

 

「目標」があるから、振り返りができる

新人教育の振り返りは、社員一人ひとりにとって重要であるとともに、企業全体にとっても重要です。というのも、振り返りを行ううえで、自社の教育レベルを高めて即戦力化スピードを早めることができるからです。

 

振り返りを行ううえでも重要なのは「目標」です。目標に対して実績がどうだったのかを振り返ることで、目標設定が適切だったか、教育プランは適切だったかを振り返ることができます。それにより、上手くいったことはパワーアップさせ、改善すべき点は見直し、目標設定をより適切に行って、自社の教育ノウハウをレベルアップさせていきましょう。

 

振り返りをすることによって、教育全体の進捗状況を把握し、新人教育のプログラムを変化する必要があるか否か、必要がある場合はどのようにブラッシュアップさせていくべきかをジャッジし、研修の質を高めていくこともできます。

 

新人研修の目標設定で得られる3つの効果とは?

新人教育の目標設定

 

新人教育で目標を設定することは、研修効果を高めることにも繋がります。目標を設定することで、どのような効果が期待できるでしょうか。新人研修で目標設定することで得られる3つの効果をご紹介します。

 

 

目標と計画を考えてもらうことが、現場の教育になる

新人教育、とくにOJTの目標と計画を現場に考えてもらうことは、現場のレベルアップに繋がります。

 

・自部門の「一人前」とは、どんな成果を上げている状態か?

・1人前になるには、どんな業務を実行できる必要があるのか?

・その業務を実行するにはどんなスキルが必要か?

・新卒と中途、それぞれどれぐらいの研修期間がかかるか?

・どんな順番で教育するとスムーズに吸収できるか

 

新人教育の目標や計画を考えるうえで、上記の設問を考えて言語化してもらうことは、業務の全体像が整理されたり、理解が深まったりする効果があります。「人に教えることで自らの学びが深まる」と言いますが、同じことです。ビジネスの現場では、かなり広範囲な業務を無意識に実行しています。新人教育の目標設定と計画作成は、改めて自分たちの業務を整理する効果があるのです。

 

 

新人のモチベーションアップにつながる

妥当なゴールが設定され、適切なフィードバックがされることは、新人のモチベーションアップと維持に繋がります。ゴールが明確になることで、「価値のある目標を何とか達成したい」という達成動機や「上司や同僚に認められたい」という承認欲求が、効果的に機能するようになります。

 

 

新人の自主性を強める

目標の設定は、新人の自主性を発揮させるうえでも効果を発揮します。仮に目標が示されていない場合、新人はどこを目指せば良いか、何をすべきかが分かりませんので、「指示待ち」の状態になりやすくなってしまいます。

 

自ら考えて行動するタイプの新人だったとしても、目標が示されていないと、間違った方向に考え、行動してしまう可能性が高くなるでしょう。明確な目標を設定することで、目標と現在地の差を把握して、自ら正しい方向に進むことが可能になります。

 

ある企業では、新人教育の中に意図的な“自由な時間(企業側で研修プログラムを設定していない時間)”を作っています。自由な時間を使って“今週”や“研修期間中”に達成して欲しいゴールを指示して、具体的な進め方は新人たちに自ら考えさせます。

 

教えられることが多い新人教育の中で受け身の姿勢ではなく、自ら考えて行動するという習慣を作るためのプログラムです。ゴールを設定することで主体性が生まれるという1つの事例です。

新人研修の目標設定を考える方法と注意点

新人研修の目標設定を考える

 

新人教育の目標設定ですが、効果的な目標設定を行うには3つのポイントがあります。順番に見ていきましょう。

 

 

組織への統合(組織社会化)、スキル習得、業績指標、3つの目標を考える

新人研修の目標を立てる際には、①組織への統合(組織社会化)、②スキル習得、③業務指標の3つの側面から目標を考えるとスムーズです。3つの指標は、言葉のみではイメージしづらいかもしれませんので、“営業職に配属される新人社員”を例に紹介します。

 

  • 組織への統合(組織社会化)

組織への統合(組織社会化)は、「組織に馴染むための目標」です。組織には固有の文化があり、組織の文化を吸収しないと、能力を発揮することはできません。組織社会化のプロセスは新入社員のみならず、中途社員にとっても必要です。

 

組織社会化のプロセスは、

・歴史(自社サービスの誕生や発展の歴史)

・理念(組織のミッションやビジョン)

・価値観(組織のバリューや暗黙知、価値基準)

・言葉(会議やサービスで使われる言葉や略称)

・人間関係(顔と名前の一致)

・政治(意思決定の仕組み)

といった内容の理解です。

 

新人の場合であれば、自社のミッションとビジョンを自分の言葉で説明できる、部門のメンバー全員の顔と名前が一致する、会議で使用される自社の用語を理解できるといったことが目標になるでしょう。

 

  • スキル習得

2つ目は業務に必要なスキルの習得です。“出来るようになるべきこと”を洗い出して、必要なスキルを洗い出していきます。営業社員の例でいえば、

・アポイント獲得 ⇒顧客DBの検索、ビジネス電話マナー、アポイント取得TELなど

・商談 ⇒アイスブレイク、企業紹介、ヒアリング、商品説明、Q&A、クロージングなど

・受注後処理 ⇒見積書の作成、発注書の回収、受注後の顧客対応など

といったスキル項目が想定されるでしょう。

 

星取表のようにチェック表を作成し、どのスキルを習得したか、一つひとつチェックしていくと、教える側も分かりやすいですし、新人も全体像や自分の成長が分かります。

 

  • 業績指標

業績指標はスキル習得と対になる目標であり、「仕事を通じてどんな成果をあげるか」という目標です。業績指標は、ゴール指標(KGI)とプロセス指標(KPI)の両方を設定することが重要です。

 

営業であれば、ゴール指標は売上や顧客獲得件数、プロセス指標はアポイント獲得数、商談同行数、単独商談件数などです。プロセス指標を設定することで、ゴール指標を達成するための道筋が明確になり行動しやすくなります。

 

スタッフ部門などの場合には、業績指標を数値で設定することは難しいかもしれませんが、計測できる業務ゴールを設定することが重要です。

 

 

SMARTな目標を設定する

新人教育に限らず、効果的な目標設定をするために大事なのが「SMARTな目標」を設定するということです。「SMART」とは、

 

・Specific        :具体的

・Measurable       :測定できる

・Achievable     :達成可能

・Related           :上位目標に紐付いている

・Time-bound   :期限の定めがある

 

という5つの頭文字です。抽象的な目標設定は行動に繋がりませんし、測定できない目標は客観的な評価ができません。また、高すぎる目標は実現イメージが湧かず、やる気が削がれてしまいます。上位目標は少しイメージしづらいかもしれませんが、例えば、「営業職として1人前になり、6か月後までに200万円の売上をあげる」という最終ゴールを達成することに紐づいている目標かどうか、ということです。また当然、目標を運用するためには、明確な期限が必要です。

 

すべての目標でSMART全部を満たすことは難しいかもしれませんが、可能な限りSMARTを意識して、抽象的・曖昧な目標設定は排除しましょう。

 

 

中長期の目標で夢を描く

短期の目標はSMARTに基づいて現実的なものを設定する必要がありますが、短期目標だけを設定していくと、無味乾燥なものになってしまい、新人の意欲が削がれてしまうリスクもあります。

 

従って、新人の意欲を高めるためには、本人を巻き込みながら「夢」となるような中長期目標を設定すると効果的です。例えば、

 

・新人賞を取る

・これぐらいの成果をあげる(売上〇〇〇万円、トップセールスになる)

・顧客からこんな言葉をもらう

 

1人前になることで、「顧客にこんな貢献ができる」「仕事のこんなやりがいがある」「賞与でこんな報酬が得られる」といったことを、ロールモデルも踏まえながら見せてあげると効果的です。ポイントは、新人自身が作成に関わり、「ワクワクする目標」を設定するということです。

 

まとめ

新人教育において目標設定することは、教育効果を高めるうえで非常に重要です。目標を設定することで、カリキュラム一つひとつのゴールや方向性が定まる、ゴールに対する現在地を把握できる、計画と振り返りのレベルが上がるといったことが実現します。

 

目標設定は、OJT指導者に自分の仕事を整理させたり、本人のモチベーションや自主性を引き出したりすることにも繋がります。短期的にはきちんと実行していけるSMARTな目標設定、そして、夢を抱けるような中長期の目標設定を組み合わせて、効果的な新人教育を行ってください。

著者情報

株式会社ジェイック 取締役 古庄 拓

HRドクター 編集長

株式会社ジェイック 取締役 古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等 twitterはコチラ。ぜひご覧ください。 古庄拓/ジェイック取締役 https://twitter.com/tfurusyo

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