【新入社員がすぐ辞める】退職理由と離職防止の対策、実施タイミングとは?

2020/03/30

期待を込めて採用・研修を行ってきた新入社員が早期離職してしまうことは、企業の経営陣、人事責任者、そして、現場を悩ませる問題の1つです。直接的な採用費、採用にかけた工数、そして、入社後の研修まで、社員を採用して一人前にするまでにかかる労力は決して小さくありません。早期離職が続く状況は費用や手間だけでなく、採用や育成に関わった社員、職場のモチベーションを下げることにもつながりますので、早期の対策が必要です。

 

新入社員の早期離職を食い止めるためには、いつ何をすれば良いのか、入社前と入社後の対応策を解説します。

<目次>

何が問題か?新入社員がすぐ辞めることで起こる経営上の問題

新入社員が早期に離職してしまうことは、採用された本人のキャリア形成上も好ましくありませんが、採用した企業側にとっても大きな問題です。新入社員の早期離職が起こる職場で、引き起こされる経営上の問題を整理しておきます。

 

 

知識や技術、ノウハウが引き継がれない

せっかく教育・研修の機会を提供しても、戦力となる前に退職されてしまっては一連の取り組みは無駄になってしまいます。また新入社員が定着しなければ、リーダー、マネージャー、幹部として活躍する人材の分母も少なくなります。当然、中長期で考えて組織として弱体化してしまい、知識や技術、ノウハウが次の世代へと引き継がれません。

 

既存社員のモチベーション低下

新入社員の早期離職は、採用や教育に携わった社員のモチベーションを落とします。人事やOJT指導者が『苦労して採用したのに…』『時間を割いて教育したのに…』と思うのは自然な心理です。また、新入社員の早期離職は、他の社員にも悪影響を及ぼします。新入社員がすぐに辞めたのをきっかけに、『うちの会社、なにか問題あるのでは…』『このまま会社に居ても…』という疑念や不安が広がってしまうのです。入社したばかりの仲間が職場を去ってしまうことは、社員のモチベーションを確実に下げていきます。

 

 

採用活動への悪影響

新入社員の離職率が高いと、新規の採用活動もうまくいかなくなる可能性が高まります。現在、ハローワーク、大学への求人、新卒媒体などでは企業に対し3年間の離職率/定着率の開示が求められるようになっています。また、新卒/中途を問わず、企業への応募時に口コミサイト(OpenWorkや転職会議など)をチェックすることが当たり前になってきています。『ブラック企業を選んでしまうことだけは避けたい』という求職者の意向が強くなっていますので、早期離職は採用活動の難易度をあげることに繋がります。

新入社員の退職理由とすぐ辞める若者の心理

 

 

新入社員の早期離職はどういった理由から起きるものでしょうか。一言で集約すれば「ギャップ」です。ギャップは「事実としてのギャップ」に加えて「新入社員が頭の中で思い描いていた入社後と現実のギャップ」があります

 

 

開示されていた内容とのギャップ

仕事内容や給与、労働時間や休日など、求人票や面接時の説明と実際の条件が乖離していたような場合、当然ながら新入社員は強い不満と会社への不信感を抱きます。「仕事内容」や「給与」はもちろんですが、「長時間労働」や「残業」に対する若者の敏感さは10年前と比べると段違いです。「労働時間が長い…」「有給がとれない…」「休日出勤がある…」といったことに対して、30代後半以上の世代が想像する以上に、ストレスや不満を強く感じる傾向にあるので、注意が必要です。定量的な待遇や勤怠に関するギャップは企業の責任としてすぐに解消する必要があるでしょう。

 

 

想像していた内容とのギャップ

大きな原因になっている一方で、対応が難しいのが「想像していた内容」とのギャップです。一概に企業側の責任とも言えず、応募者の経験や知識、先入観からもたらされるギャップもあります。例えば、『マーケティングと聞いて華やかな企画などを想像していたら、実際の仕事は地味なデータ分析や入力作業の割合が多かった』といったギャップです。また、この数年で増えているのが『入社してすぐに企画業務に携われると思っていたけど、実際には店舗や営業を経験して3年かかることが分かった』といった時間軸に関するギャップもあります。企業側からすれば現場や顧客を知ってもらうことは当たり前と感じますが、近年の新入社員は「下積みをする」という感覚や下積みが必要だと思う期間が昔と変わっています。新卒や既卒採用などで、華やかな仕事内容や仕事のやりがいで惹きつける際には注意が必要かもしれません。

 

もちろん、企業側が選考の中で情報を出していないことによる「想像とのギャップ」もあります。例えば「人間関係が良さそうなイメージ」を打ち出しているが、「実際の職場では意外と部門間や上下間の対立がある」といったケースです。ここまで意図的ではないにしても、求人情報のみでは伝えきれない詳細な情報に対して、ギャップが生じることは良くあります。採用側の企業に悪意がなかったとしても、ギャップは結果的に早期退職の原因になりますので細心の注意を払いましょう。

 

 

自分の能力、適性とのギャップ

職務を遂行するための能力不足や適性との不一致が生じるケースもあります。例えば、同じ「営業職」でも会社によって「コツコツと仕事を積み重ねていくことで信頼される営業職」「スピーディーな対応やフットワークが成果につながる営業職」「提案力や分析力で勝負する営業職」「コミュニケーションとクロージングで結果を出す営業職」と千差万別であり、必要とされる能力や適性も変わります。しかし、必ずしも応募者が違いを理解したうえで応募してくるとは限りません。応募者が自分自身の能力や力量、適性をちゃんと把握していない場合もあり、新卒などの若手、業界未経験者の採用で特に能力・適性とのギャップは起こりやすい傾向があります。若手層になるほど、「実績」で判断がつきませんので、採用企業側が“面接で見抜く目”を鍛える必要があります。

 

 

さまざまなギャップをどう理解すべきか

「最近の若者はすぐ辞める」と感じる人事や経営者の方もいらっしゃるかもしれません。確かにこの数年で明らかにギャップに対する耐性やギャップを我慢する感覚は変わっています。「石の上にも三年」という誰もが知る諺がありますが、最近では通じなくなりつつあります。あえて言うなら、いまの若者は「石の上には3か月」です。冷たい石の上で我慢していられる、得たいものを得るために我慢できる期間が、昔の感覚とは違ってきています。

 

繰り返しになりますが、例えば「企画業務をやりたい」という新人に対して、業務を教える企業側としては『まず現場を経験して、顧客の顔や心理、商品やサービスのことを知って、初めて良い企画が考えられるようになる。企画業務に異動できるのは、早くても3、4年目だ』と考えるのは一般的と言えます。しかし、最近では『研修後の配属で、企画部に行けないなら辞めます』という新人も少なくありません。

 

このような常識・感覚の違いは、企業が思ってもみないところでギャップを生み、“すぐ辞める”原因になることもあります。新人の“常識”をすべて受け入れた方がいいという話ではありません。しかし“常識の違いがある”ことを理解しておくことが、ギャップの解消を行う、ケアするうえでは重要です。

「新人がすぐ辞める」を防ぐポイントは入社前の対応!?

 

新人の早期離職を引き起こす理由は、前述のように“ギャップ”にあります。従って、早期離職を防ぐポイントは“ギャップをいかに減らすか?”にあります。早期離職を防ぐうえでは、「入社前の対策」、選考中や内定承諾から入社までのコミュニケーションがじつは重要です。具体的には以下のようなことを意識しましょう。

 

 

ギャップになりそうな情報の開示

採用活動(採用ページ、ブログ、パンフレット、説明会、面接、内定後面談、懇親会…)の中で、ギャップが生じそうな情報に関して、しっかりと開示していく、またギャップが生じることに対して心構えを作っていくことが大切です。

 

基本的な仕事内容、待遇、休日などに関して誤解を生じさせないことは言うまでもありません。加えてご紹介したような「一見華やかそうな仕事内容と現実のギャップ」「仕事としての厳しさや新人が感じやすい悩み」「繁忙期の忙しさ」など、ギャップの原因になることは入社前になるべく解消していきましょう。『大変さをすべて伝えたら内定辞退される…』と思われるかも知れません。確かに求人広告や説明会の段階で大変なことをすべて書いたら応募は少なくなるかも知れません。魅了付けとのバランスを意識しながら、入社までにギャップを減らすことを心掛けましょう。

 

「ギャップ」が原因で早期離職する場合、会社に良いイメージを持って退職することは少ないでしょう。新人の早期退職は、採用した人材が辞めるだけではなく、口コミサイト等でネガティブな内容を書かれるリスクも生じます。早期離職がもたらす影響がどこまで派生するかを考え、改善に取り組むことをお勧めします。

 

 

社員との懇親会や面談、ランチの実施

入社後、一緒に働くメンバーと交流を深めていく中で、入社後の姿をより鮮明にイメージできるようになります。自然とギャップの解消にもつながっていくでしょう。内定承諾~入社までの間で、社員との懇親会や面談、ランチ等の機会を設けることは有効です。選考途中には聞けなかった細かな不安や疑問も解消されていくことが期待できます。

 

 

インターンシップや内定者アルバイトの導入

近年においてインターンシップは、母集団形成の手法としての位置付けになりつつありますが、入社後のギャップ解消手段としても有効です。サイバーエージェントの新卒採用では、会社説明会を実施しない代わりに、職種別にインターンシップを実施しています(サイバーエージェントで会社説明会はすべて動画化して、採用サイト上で随時閲覧できます)。

 

新卒の場合には内定者アルバイトや内定者研修も有効です。入社前に社内の雰囲気を味わったり、業務内容の一部を体験したり、社員の仕事を見たりすることで、「イメージしていた内容と違う」という入社後のギャップを解消できます。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック 取締役 HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等

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