新入社員研修でこそ学ばせたい「7つの習慣」

2020/08/25

『7つの習慣』という書籍の名前を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。全世界で4,000万部、日本国内で240万部の売上げを誇る、ビジネス書としては記録的なベストセラーです。また、この書籍を基にした研修プログラムは全世界147か国で展開され、多くの大企業、優良企業で導入されています。

『7つの習慣』で述べられていることは、豊かな人生を送るために大切にすべき原理原則であり、その普遍性こそが世界中で大変多くの人々や企業に支持されている理由です。著者のスティーブン・R・コヴィー博士が、アメリカ合衆国建国から現代までの豊かな人生に関する知恵・ノウハウの研究を基にしており、特に「人格」、つまり「人としての在り方」に焦点を当てていることも特徴です。

 

管理職に登用されたときに必ず読むべき本として『7つの習慣』を指定している企業もありますし、多くの会社でリーダー研修として取り入れられています。ただ、非常に本質的な考え方と価値観であるからこそ、管理職に上がったときでなく、新入社員のときから学ばせたい内容です。記事では、「イマドキの若者」の意識や新入社員に「7つの習慣®」を学ばせる価値を解説します。

<目次>

いまの新入社員が持つ「働く意識」

まずは「イマドキの新入社員」がどんな特徴を持っているのか内閣府のデータなどを見ながら確認していましょう。

 

 

社会人としての責任感に黄信号?「イマドキの若者」の意識

内閣府の「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成30年度)」に、「どのようなときに充実していると感じるか」についての調査結果があります。

 

結果としては、「仕事をしているとき」に充実しているという回答が59.6%、「ボランティア・社会貢献活動をしているとき」に対して当てはまるという回答は41.1%。これらは平成25年度と比較して低下傾向にあります。また、「他人にわずらわされず、一人でいるとき」に対して当てはまるという回答は71.0%。こちらは平成25年度より若干増えています。
「自分自身のイメージとして当てはまるもの」についての調査結果では、「いまが楽しければ良い」「人は信用できない」といった回答が平成25年度より増えています。そして、自分の誇れるものとして「まじめさ」や「忍耐、努力」を挙げる人は平成25年度より減ってきています。

 

内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成30年度)」調査結果

https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/ishiki/h30/pdf-index.html

 

 

ジェネレーションZ、さとり世代の特徴

“ジェネレーションZ”や“さとり世代”と呼ばれるいまの若者たちは、「個人主義でプライベート重視、働き方に自由度・柔軟性を求めており、転職にも抵抗がない」といった職業観を持つと言われています。また、“SNSネイティブ”と呼ばれ、子どもの頃からSNSに慣れ親しんだ生活を送っており、常に他人と自分を比較せざるを得ない環境にいるため、“自分に自信を持てない”“直接対面したときの他人との距離感に悩む”といった人も増えています。
「自分をあるいは自分の時間を大切にする」のは個人の自由ですが、社会人として、組織の一員として働く以上、自分の果たすべき責任を自覚し、周囲の人々と良好な関係を築きながら仕事に取り組むことが求められます。

 

 

いまの新入社員にこそ必要な“考え方教育”

残念ながら、内閣府の調査結果や世代の特徴を見ると、いまの若者たちは仕事で担うべき責任に対する意識が希薄である印象も受けます。「今どきの若者が劣っている」ということではなく、「世代としての強みが違う」ということです。しかし、社会に出て、異なる世代と働いてもらううえでは、彼らの強みを活かしながら、うまく“常識”をすり合わせていく必要があります。

 

この“常識のGAP”は、単なるビジネスマナーやスキル教育をするだけでは解消されません。生まれ育ってきた時代背景と環境が異なり、いまのビジネス感覚とのズレが大きくなっているからこそ、社会に出た新入社員のうちに「考え方」の教育をすることが大切です。「人生の原理原則」として世界的に支持されている「7つの習慣®」を学び実践することは、本当の意味での社会人としての第一歩目を踏み出す力となるでしょう。

新入社員の主体性とリーダーシップを引き出す「7つの習慣®」

具体的な「7つの習慣®」の内容について見ていきましょう。まずは新入社員の当事者意識や主体性、責任感、リーダーシップを引き出すのが、「私的成功」と呼ばれる第1~第3の習慣です。

 

前章で少しご紹介した通り、「7つの習慣®」は人格に目を向けています。人としての「在り方」、考え方や価値観が、仕事や周囲との人間関係、体験の受け止め方、すべての土台になるからです。また、「パラダイム」と呼ばれる「ものの見方」にも言及しています。自分が世の中をどう見ているのかを気づくことによって、結果的に自分自身を客観的に捉えられるようになり、「社会人としての自身のあるべき姿」に気づくのです。

この「自身のあるべき姿」として、「自立した個人として周囲から信頼され、成果を挙げられる存在になる」ことを「私的成功」と呼びます。第1の習慣から第3の習慣を学び実践することで、私的成功を実現できます。簡単にだけ、各習慣の内容を見てみましょう。

 

・第1の習慣「主体的である」
⇒周りに流されず、自身の責任でその場で最も良い選択をする

 

・第2の習慣:終わりを思い描くことから始める
⇒何事もゴールイメージを描き、ビジョンを持ち、計画を立ててから行動する

 

・第3の習慣:最優先事項を優先する
⇒最も重要なことからスケジューリングし、実行する

 

上記3つの習慣が身に付いていなかったらどうなるでしょうか。自分の意見や考えを持たない優柔不断な態度、ろくに計画を立てず行き当たりばったりの行動、物事に優先順位をつけず時間に振り回される、そんな仕事のやり方では、周囲からの信頼どころではなく、周囲に迷惑をかける存在となってしまうかもしれません。「私的成功」に向かう3つの習慣は、新入社員として身に付けるべき仕事の基本と言うべきものです。

 

私たちは生まれてから成長するまでは、親や先生など周囲の人たちへ肉体的・経済的・精神的に依存しながら生きてきています。社会人となり、社会的にも自立するこのタイミングは「依存」からの完全な脱却を図る良い機会です。第1~第3の習慣までを習慣を身に付けることで、「セルフ・リーダーシップ」、つまり「自己決定できる自分」へと成長できます。自分を内面から変える、そして、自ら行動を起こし周囲に影響を与えていくインサイド・アウトの姿勢をこの機会に身に付けさせましょう。

『7つの習慣®』でチームワークを発揮させる

「私的成功」のための3つの習慣を実践することができれば、個人として信頼され、自分の力で成果を挙げられるようになり、周囲から一目置かれる存在となれるでしょう。しかし、組織は一人で仕事をするのではなく、周囲と協力しながら、より大きな成果を挙げていく場所です。

 

「7つの習慣®」でも、個人としての信頼性を高めることがゴールではなく、私的成功を収めたうえで、周囲とのシナジーを創り出すことをゴールだと定めています。「7つの習慣®」では、これを「公的成功」と言います。

 

シナジーとは、一人の力だけでなく他者と関わり協力し合うことによって、より大きな成果を手に入れることです。ラグビーワールドカップ日本代表の「ワンチーム」、前回のオリンピックでの男子400mリレー等、シナジーの偉大な力には枚挙にいとまがありません。「公的成功」を実現するための習慣は以下の通りです。

・第4の習慣:Win-Winを考える
⇒自分の利益と相手の利益を同時に考える

 

・第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される
⇒まず相手の理解に努めることで、深い信頼関係を築く

 

・第6の習慣:シナジーを創り出す
⇒相手を尊重し、より良い結果を求め協力し合う

 

新入社員のうちは、このような人間関係に関する習慣の重要性を理解することは難しいかもしれません。しかし、新入社員のうちに考え方を学ぶことで、自分の殻に閉じこもらず、周囲との関係性に目を向けて多様な価値観を受け入れることや、新入社員の自分も一人の戦力になれるという自覚につながることが期待できます。

 

今後、変化が激しい時代の中で、組織に求められるものは、単に決まったオペレーションを確実に運営するだけではなく、多様性を持った異なる相手と共に、生産性を高めたり、イノベーションを起こしていったりすることが必要です。そこに役立つのが「公的成功」の考え方です。

 

周囲との良好な関係を築くには、いつも「自分自身が信頼される存在かどうか」から始める必要があります。公的成功は、自立した個人として信頼されているからこそ、達成できるのです。従って、私たちは常に自分を良い状態に保ち、磨き続ける必要があります。第4~第6の習慣に続く最後の習慣、「第7の習慣:刃を研ぐ」は、自身の知識や心身の健康、人間関係等を常に良好な状態に保つための習慣になっています。

 

新入社員のうちに「考え方」や「在り方」の正解を教える

再び内閣府調査からの引用になりますが、自分自身のイメージとして「自分自身に満足している」が当てはまるという回答が45.1%、一方で「自分は役に立たないと強く感じる」が当てはまるという回答が51.8%あります。5年前の調査と比べると「役に立たない」は増加傾向(4.6%増)にあります。この結果を見ると、「社会人としての自分」に対して漠然とした不安を感じている人が増えている傾向が見て取れます。

 

「自己肯定感の低さ」は、いまの若者たちに共通する傾向です。自己肯定感の低さは、「自分が役に立ってない」という自己有用感の低さも強く影響していると考えられます。社会人になったばかりの新入社員が「周囲の役に立てていない」と感じるのはある意味仕方がないことです。しかし、時間が経過する中で、自身の仕事における成長実感と、それに伴う自己有用感・自己肯定感が上昇していかないとすれば大きな問題だと言えるでしょう。
若者たちの傾向として、「身の回りに溢れるさまざまなものを使いこなすために、子どもの頃からマニュアルに慣れ親しんでいる」という特徴もあります。マニュアルに従って効率よく物事を進めることが得意とも言えます。従って、仕事上においても明確なやり方の指示を求めますが、やり方が分かれば的確に仕事を進めていくことができるという特徴があります。

 

マニュアルと正解を求める彼らにとって、社会人としての「考え方」「在り方」に関するマニュアルや正解となる「7つの習慣®」は彼らの特徴にもフィットするでしょう。ビジネスマナーやスキルに比べて、「考え方」や「在り方」は、正解や体系を教えることが難しいものです。「7つの習慣®」はそこに対するひとつの解決策になるかもしれません。

まとめ

 

内閣府の調査結果を見ると、「イマドキの若者」は自分たちに自信がなく、また、仕事への責任感や組織で何かを成し遂げることに対して、興味が薄れている傾向があるように見えます。これらは能力やスキルの問題ではなく、価値観や意識の問題です。だからこそ、新入社員研修においては、これまで以上に“自立した個人として、周囲と深い信頼関係を築き、シナジーを発揮する”ための考え方や在り方を教えることが重要になっています。

 

「7つの習慣®」は、第1~第3の習慣で自立した個人として成果を挙げること、第4~第6の習慣で周囲と信頼関係を築いてシナジーを発揮すること、そして、第7の習慣で自らを磨き続けることを、体系的に学ぶことができます。従って、教えることが難しい考え方や在り方の面で、いまの新入社員が得意とする「マニュアル」「正解」となるものです。

 

HRドクターを運営するジェイックでは、全社教育の柱として、「7つの習慣®」を取り入れています。新入社員教育や全社教育に「7つの習慣®」を取れ入れてどんな効果があったか、下記の冊子で紹介していますので、ぜひご覧ください。


著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック 取締役 HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等

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