若手社員のロイヤリティを高めるために押さえるべき3つのキーワード

2020/08/25

「社内の若手社員に組織へのロイヤリティを持ってほしい」、同時に「ロイヤリティを持った社員が集まるいい会社にしたい」という思いは、多くの経営者や人事の方がお持ちだと思います。一方で、いまの若手社員は,

生まれたころにはバブルは崩壊し、“失われた10年”“就職氷河期”“リーマンショック”“コロナ禍”という中で育ってきており、「組織は自分を守ってはくれない」と考えています。その中で、フリーランスや副業、兼業がもてはやされる時代の流れもあり、若手のロイヤリティを高めることは以前よりも難しくなっています。

 

記事では、現代のロイヤリティとも言われる“エンゲージメント”を紹介しながら、若手のロイヤリティを高めるために押さえるべき3つのキーワードをご紹介します。

 

<目次>

若手のロイヤリティは低い!?

アメリカの調査会社であるギャラップ社が2017年に実施した調査によると、日本企業における「熱意あふれる社員」の割合はわずか6%で、調査した139か国中132位という結果になっています。それに対して、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」が23%、「やる気のない社員」は71%に達しています。

 

“サッカー”にたとえると、「やる気に満ちてピッチを走り回る選手が1人、文句を言いながら無気力なプレーをする選手が3人、残りの7人はやる気なし」。この11人でどうすれば試合に勝てばいいのでしょうか。「熱意あふれる社員」が6%しかいないという状態が、どれだけ危機的な状況であるかが分かります。

 

日本企業は、高度経済成長期においては、“家族主義”とも呼ばれ、社員のロイヤリティ、つまり忠誠心が高いと言われてきました。しかし、近年は決してロイヤリティが高いと言える状況ではありません。上記の調査結果は、若手だけに限った話ではありませんが、類似した結果であると考えられるでしょう。

 

ロイヤリティが低下している理由として、冒頭で紹介したように、前提として「組織や会社に対する信頼」がなくなっているということがあるでしょう。また、以下のような日本企業の特徴も要因として考えられます。

 

・勤務時間と賃金の関係

日本企業は、まだ「時間で働く」感覚が強く、仕事を早く終わらせても帰ることはできません。逆に、同じ成果でも、時間をかけたほうが残業代も出て賃金が増える、といったことさえあります。生産性を上げて仕事をしても報われない構造になっていては、特に能力も意識も高い社員は、仕事に対して充実感や達成感を得にくいでしょう。

 

・同調圧力の強い組織風土

古くから日本企業の職場では「空気を読む」ことを求められ、その傾向が続く企業はいまも少なくありません。上司がいるうちは帰りづらい、有給休暇を取りづらい、余計なことを言わない・やらない等、窮屈さを感じる風土が残っている会社も多く、その結果として、社員は自分の考えを発言したり、主体的な行動を避けたりするようになります。

 

・複雑な組織形態

日本企業は、縦割りが強く、また階層構造が多いのが特徴です。その結果、意思決定に多くのコミュニケーションと根回しが必要であり、会議も増える傾向にあります。意味を感じない調整に時間と手間を取られることがストレスにつながります。また、関係者が多いと物事を進めるためのルールや規則が増え、より仕事がしづらくなりがちです。

 

・職能型の人事システム

海外企業が仕事内容に重点をおいた人事処遇、つまり、各分野でのスペシャリストを求め、能力の高さを評価するのに対し、日本企業は人に焦点を当て、汎用的なゼネラリストを育てる職能型の人事処遇をおこなってきました。その結果として、自分の使命や役割を感じにくいと言われています。

 

日本企業の特徴が、企業の「強さ」につながっていた時代もあったでしょう。しかし、いま働いている世代の思考や常識には合わなくなってきており、逆に、組織の弱体化につながる可能性もあるというのが現実です。状況を放置していては、先ほどのサッカーの例で言えば、やる気に満ちてピッチを走り回っている貴重な1人がチームを去ることにもなりかねません。次章以降で具体的なロイヤリティの高め方を解説していきます。

「若手のロイヤリティを高める」から「エンゲージメントを高める」へ

「ロイヤリティ」という言葉は、「組織への忠誠心」といった意味で使われることが多いでしょう。しかし、冒頭に記載した通り、変化が激しい現代において「組織が個人を守ってくれる」と本気で考えている若手社員は少なくなっています。統計的に言えば、“組織の寿命”のほうが“個人の寿命”よりも短いのも事実です。

 

また、少子化が進み、かつ仕事の専門性も高まる中で、組織と労働者の関係も変わっています。「雇用者の立場が強く、従業員(被雇用者)の立場が弱い」という考え方は古くなってきていますし、転職やフリーランスでの働き方も当たり前になりつつある近年、「雇ってあげている」という意識は通用しなくなりつつあります。

 

その中で、最近、ロイヤリティに代わる言葉として注目されているのが「エンゲージメント」です。“エンゲージメントリング(婚約指輪)”の「エンゲージ」と同じ由来であり、英単語としては、「契約」や「婚約」という意味です。組織開発の分野においては、会社と個人(従業員)が対等の関係である中で、「組織や仕事へのコミットメントや誇り、仲間意識」などを指すものであり、現代版の「ロイヤリティ」だと言ってもいいでしょう。

 

この数十年、組織開発分野での統計調査なども大きく進み、エンゲージメントが高い組織ほど、定着率も高く、生産性も高いことも実証されています。結果、多くの会社で、エンゲージメントを高めるための取り組みが導入されています。「ロイヤリティ」は、「会社が従業員に対して求めるもの」という感覚が強いですが、「エンゲージメント」は前述のように、組織と個人が対等の関係にあることを前提にして、「組織がエンゲージメントを高めるための働きかけをするもの」という感覚です。

ロイヤリティとエンゲージメントが高まることのメリット

この章では、「具体的な高め方」に入る前に、ロイヤリティとエンゲージメントが高まるとどんなメリットがあるかを整理しておきます。

 

・社員が辞めない組織になる

エンゲージメントが高まっている状態では、社員は目の前の仕事に充実感を持って取り組んでおり、企業がそれを積極的にサポート、社員はさらに仕事がやりやすくなりパフォーマンスがさらに良くなる、といった好循環が生まれています。社員はやりがいや働きがいを感じており、離職は減っていきます。

 

・社員/組織の成長が促される

充実感があり、ポジティブな感情で働いていればパフォーマンスが高まるだけでなく、精神的に余裕が生まれて視野が広がるので、周囲との協力体制の構築や、新しい取り組みへのチャレンジが可能になります。結果として、社員一人ひとりの成長も、組織としての成長も期待できるでしょう。

 

・顧客満足度が向上する

エンゲージメントの向上は、ミッションやビジョンの浸透と一致します。従って、企業としてどこに向かおうとしているのか、何がわれわれの提要する価値なのかというベクトルも一致している状態です。従って、より良い商品・サービスが高い生産性で提供されるようになりますし、顧客へのさらなる貢献が可能になり、さらなる顧客満足を引き出すことで業績向上も期待できます。

若手のロイヤリティとエンゲージメントを高めるための3つのキーワード

「将来を支える若手社員が仕事にやりがい(価値)を感じ、イキイキと働いている」、このようなロイヤリティとエンゲージメントが高まっている状態を作るためのキーワード3つを解説していきます。

 

具体的には、以下の3

1.当事者意識

2.つながり

3.リーダーシップ

 

 

ロイヤリティを高めるキーワード1「当事者意識」

「当事者意識」は、若手社員の主体的な行動に表れます。HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、毎年4月に各社から1,000人を超える新入社員をお預かりして、新入社員研修を実施しています。研修に参加する参加者の様子を見ると、研修当初から積極的に挙手する人、グループワークでリーダーシップを発揮する人、研修講師のサポートを申し出る人はほんの一握りです。

 

しかし、時間の経過とともに、積極的に行動する人は、1人増え2人増え、最終的には参加者のほぼ全員が自ら挙手をして発言し、研修講師のサポートにも自ら行動を起こすようになります。研修に対して遠慮したり、様子見をしたりしている状態から、「自分が学ぶ場である」「自分が当事者である」と腹落ちした瞬間から、持っているエネルギーが発揮されていくようになります。

 

「仕事に対して、やる気がなく、無気力に見える」、つまり当事者意識が低く感じる若手社員がいるとします。彼らにエネルギーがないわけではありません。研修で様子見している参加者のように、エネルギーを発揮する方法が分からず「出し惜しみ」しているだけで、内側にはエネルギーが充満しています。従って、組織側としては、彼らのエネルギーを発揮できるように導く必要があります。

 

ジェイックの新入社員研修では、研修で伝える内容一つひとつで「やり方」と共に「意味」を教えることを重視しています。なぜ挙手を求めるのか、グループをまとめる行為や研修の進行をサポートすることにどんな価値があるのか、新入社員が「意味」を理解して納得すると、彼らの行動は変わります。ここに若手の当事者意識を高め、持っているエネルギーを存分に発揮させるためのポイントがあります。

 

いまの若手社員は、インターネットを通じてすぐに「正解」を手に入れることに慣れた世代です。従って、正解が分からないと動き出しが遅い傾向にあります。「あの若手社員はやる気が見えなくて困った」と嘆くのではなく、一つひとつの仕事の意味や価値を理解して、腹落ちしているかを確認することがおすすめです。

 

持っているエネルギーを存分に発揮する“当事者意識が高い”状態になると、若手も自ら考え行動するようになります。人は自ら考えて行動したことに対しては、自然と責任感も増します。そして、仕事上の責任を果たすという延長線上で「この仕事の中で自分ができる貢献は何だろうか」と考えるようになれば、望ましい成長への階段を上り始めています。

 

 

ロイヤリティを高めるキーワード2「つながり」

若手世代の顕著な特徴として、「人とのつながりを重視する」ということがあります。子どものころからSNSを使ってきた“SNSネイティブ”の世代です。“友達とつながっていたい”“自分が経験していることを他者と共有していたい”と考える傾向が強いです。また、「いいね」や「スタンプ」を通じて、“承認を得る”ことにも慣れています。裏返すと、“つながりを感じられない”“孤独である”“承認されない”といったことに不安や不満を感じやすいとも言えます。これは上司や同僚との関係において顕著に表れる傾向です。

 

また、組織では、社員同士のつながりを阻害する要因も存在します。例えば、部署が違う・リーダーが違うと、方針も違うこともあるでしょう。すると、同じ企業内なのに意見が合わず、すれ違いが生じることもあります。また、多くの組織では、職務別で部署ができていますので、部署内のコミュニケーションは比較的活発でも、他部署との情報共有はあまりされず、他の部署がいま何をやっているのかを知らないこともあります。物理的に離れていれば、余計に情報共有はされづらくなります。今般のテレワークによるコミュニケーション量の減少は、心理的なつながりが薄れることに拍車をかける部分もあるでしょう。

 

部門内、組織内で「つながれていない」感覚があると、いまの若手社員は不安や不満を感じがちです。また、「組織の一員であるという安心感や自覚が失われることで、周囲に対しての関心が薄まっていく」という悪循環にも陥りがちです。従って、若手のエンゲージメントを高める上で、心理的な「つながり」を意識する施策をおこなうことは非常に重要です。

 

若手社員との心の距離を縮め、つながりを作るためには、「話をしっかり聴く」ことがポイントです。「話を聴く=会話の時間を取ればいい」と勘違いされている場合もあるので注意が必要です。もちろん、会話の時間を取ることは大切です。しかし、信頼関係がない中で、「何でも聴いてあげるから何でも話してごらん」と言われて素直に心を開く若手社員がどれだけいるでしょうか。また、「そう言われたから話したのに、結局、上司の自慢話と説教を聞かされて終わった」という状態になれば、心理的なつながりができるどころか、エンゲージメントを下げるだけです。

 

上司や組織は、若手社員が思っていること、考えていることを躊躇わずに発信できる「心理的安全性」を整えることが大切です。そのためには以下がポイントになるでしょう。

 

・否定しない

人は自分の意見と異なる意見に接したとき、無意識に否定したくなります。育ってきた時代と環境が違う中で、いまの若手社員は自分と違う価値観や意見を持っていることは当たり前です。相手の価値観や意見を頭ごなしに否定せずに、まずは相手の意見を受け止める姿勢を持ちましょう。

 

・身体で聴く

腕組みをしたり、仕事の手を止めなかったり、相手の言葉を遮ったりしている状態では、若手社員は真剣に話を聴いてくれているとは思いません。自分のしぐさや立ち居振る舞いが相手へのメッセージになっていることを自覚しましょう。

 

聴き方の工夫でコミュニケーションの質が良くなるだけでも、若手社員は周囲の人たちとつながりを感じるようになります。「若手社員がつながりを感じられるための工夫として何ができるか」、社内でアイデアを出し合ってみることもおすすめです。

 

 

ロイヤリティを高めるキーワード3「リーダーシップ」

当事者意識もつながりも、最終的には各組織におけるリーダーの“リーダーシップ”に行き着きます。「人がついていきたくなる」リーダーがいれば、社員のエンゲージメントは高まりやすいでしょう。

 

若手社員の当事者意識を高め、エネルギーを存分に発揮してもらおうと思ったら、若手社員に「この仕事にどういう価値があり、その中で、あなたに何を求めているか、何をしてほしいか」を明確に伝えることが必要です。また、組織内のつながりを強固にしたいと思ったら、リーダーが率先してメンバーに理解を示し、適切な権限移譲でメンバーの強みを活かし、組織内の協力体制を構築する必要もあるでしょう。

 

ただ、「行動」だけに焦点を当てても、効果はあがりません。若手社員は、リーダーの言動を通じて、誠実さや真摯さといった人としての「あり方」を見ています。組織開発の分野で「何を言うかよりも、誰が言うか」という言葉があります。人は、決して正しさだけで動くわけではありません。「この人についていこう」と思う人から言われるからこそ動くのです。

 

リーダーとしての「あり方」は、立ち居振る舞い、言動を通じてにじみ出ます。リーダーは、「仕事にどんな姿勢で向き合っているか」「メンバーのことをどう考えているか」「組織内の他部署とどういう関係を作ろうとしているか」が、常に自分自身と向き合う必要があるでしょう。

 

まとめ

記事では、「若手のロイヤリティを高める」ことについて、組織開発の分野でいま注目されている「エンゲージメント」の概念を踏まえて紹介しました。時代の変化も踏まえると、「一方的に組織への忠誠を求める」という考え方では上手くいかなくなっています。

 

組織と個人が対等になっていることを踏まえて、組織やリーダーは、働く若手社員が「組織への誇り、仕事への価値、仲間意識」を持てるように働きかけることが大切です。それには、「当事者意識」、「つながり」、「リーダーシップ」という3つが鍵になります。記事を参考に、ぜひ若手がイキイキと働く組織を作って、会社を成長させてください。


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