若手社員が離職する3つの理由と離職防止のポイント&対策を解説

2021/01/20

若手社員が離職する3つの理由と離職防止のポイント

若手社員の離職は、企業にとって大きな痛手です。とくに中小企業にとっては、苦労して採用した若手の離職は、採用や育成費用がムダになる、既存社員への影響も大きい、欠員補充の採用で更に費用や工数が発生する、と三重苦です。

「しょうがない」「やむを得ない」「いまの若者はこらえ性がない」と半ばあきらめてしまっている経営者や人事の方もいらっしゃいます。確かに、厚生労働省が発表する「新規学卒者の離職状況」を見ると、大卒新卒の入社3年以内離職率は30~35%ぐらいのラインでずっと安定しており、何年も大きな動きはありません。

しかし、若手の離職は、原因を把握して、しっかりと手を打つことで防ぐことができます。記事では、若手社員が離職する主な理由と、離職防止のポイント・対策を解説します。

 

<目次>

若手社員が離職する3つの理由

若手社員が早期で離職する主な原因は「リアリティショック」です。リアリティショックとは、入社前や配属前に「想像」していた環境と、入社して、または配属されて実際に味わう「現実」のギャップを指します。以下でお伝えする3つの理由も、極端にいえば、すべてリアリティショックに集約されるといっても過言ではありません。

 

入社前に描いていたイメージと入社後の現実が大きく異なることが要因で、若手の早期離職は生じるのです。具体的にどういったことが起こっているのか、3つの観点からお伝えします。

 

 

若手社員の離職理由①:労働環境からくる「将来に対する不安・不満」

労働環境と言っても、一昔前のような“ブラック企業”と呼ばれる労働環境の職場は大きく減少しました。過酷な労働環境による退職もゼロになったわけではありませんが、以前より環境改善された企業が確実に増えています。

 

ここで言う労働環境への不安や不満とは、「ITを使いこなせていない」職場や、「非効率なやり方をしている仕事の進め方」に対する不満や不安です。今の若手は、「デジタルネイティブ世代」と言われており、ITを駆使して仕事をするのが当たり前と思っています。

 

ですから、ITを使えば効率的に行える仕事が、手作業などで行われている職場環境に対しては非常に否定的です。会社の将来性に対しても不安を感じますし、自分の成長等に対しても強く不安を感じます。さらに、IT化等を進言して、「つべこべ言ってないで、まずは仕事を覚えなさい」等と、自分の意見を否定されてしまうと、会社の将来性に疑問を感じたり、一気に不満が溜まったりして、退職に気持ちが傾きます。

 

 

若手社員の離職理由②:先輩社員の仕事に魅力を感じない

多くの若手社員にとって、少し上の先輩が、自分の2~3年後のイメージになります。そして、少し上の先輩を見て、任されている仕事・仕事への姿勢・言動を見て幻滅し、「自分はああなりたくない」と退職する若手社員は実はかなりの数に上ります。

 

しかし、退職にするにあたって事を荒立てたくない若手が、この事実を上司や会社に言うことは殆どなく、あまり表面化しません。「入社前の面談や面接ではイキイキと仕事のやりがいを語っていた先輩が、入社してみたら愚痴をこぼしながら働いていた」といったことが起きると、受ける衝撃は大きく、離職要因となりやすいでしょう。

 

 

若手社員の離職理由③:達成感や成長実感を得られない

いまの若手社員にとって、給料や休日と同じぐらい大切なのが、達成感や成長実感です。入社数年の

若いうちは給与に関する不満が離職理由となることは少ないものです。しかし、達成感や成長実感、仕事のやりがいを感じられないことは、すぐモチベーションダウンや離職要因に繋がります。

 

飽食の時代とも言われる現在に育ってきた若手は、物質的な欲求よりも精神的な充足感を求める傾向が強いです。そして、既卒採用も当たり前になってきた現在、入社1~3年であれば転職することは比較的容易です。従って、「仕事にやりがいを感じられない」ことが大きな離職要因になります。

 

成長実感も同様です。とくにいまの若手社員は「会社が自分を守ってくれる」「雇用が一生安泰だ」とはまったく思っていません。90年代の不況、そしてリーマンショック等の歴史があるなかで、大手でも潰れるし、苦しくなったときに会社が自分たちを守ってくれるとは考えていません。

 

だからこそ、いまの若手は“市場価値”という言葉にも非常に敏感です。「この仕事をやって、自分の市場価値は高まるか?」「自分はこの職場で成長できているか?」ということに過敏と言ってもいいぐらいです。一昔前は、 “市場価値”や“成長”というのは意欲が高い若手だけの意識でしたが、いまは、逆に自分の身を守りたい“安定志向”の結果として、誰もが“市場価値”や“成長”を意識しています。

 

若手社員の離職を防ぐうえで知っておきたい「今どきの若者」の価値観

若手の離職を防ぐためには、“今どきの若者”の価値観を理解することが大事です。新人研修とマネジメント研修等を並行して実施していると、マネジメント研修に参加する30代40代の価値観といまの若者の価値観で、大きなギャップがあることをよく感じます。

 

とくに「20代後半~30代があまりいない」という中小企業の管理職は、若者の価値観を理解していないことがよくあります。ここでは若手に働きかけるうえで知っておきたい、“今どきの若者”の価値観を確認しておきます。

 

 

若手の価値観①「自分の時間を大切にしたい」

仕事に対する価値観が多様化しているなかで、「仕事中心」に人生を考える傾向は以前よりもかなり薄くなっています。むしろ、仕事とプライベートを完全に分けて、「仕事は仕事、プライベートはプライベート」と考えて、ワークライフバランスを大事にするのが今の若者です。自分の時間を大切にする傾向が強いですし、「働き方改革」の流れが進んできた中で、残業、とくにサービス残業に対しては嫌悪感を持ちやすいといえます。

 

極端にいえば、「定時が来たら仕事が残っていたとしても帰ることを優先する」のが今の若者です。仕事に対する責任感がないわけではありませんし、仕事への意欲が低いわけではありません。しかし、同時に「定時までしっかり働いて、その後は自分の時間を優先して何がいけないのか?」という価値観です。

 

 

若手の価値観②「承認欲求が高い」

いまの若手は「認めて欲しい」という承認傾向が非常に強くなっています。twitter等のSNSで「いいね!」をもらったり、LINE等でもスタンプ等で気軽に承認をもらえたりすることが原因の一旦でしょう。

 

また、ある若手社員に「なぜそこまで承認欲求が高いのか?」聞いてみた事があります。すると、“失われた20年”が承認欲求を強くしたと自己分析していました。いまの若手社員は、バブルが崩壊して長く景気が低迷した1990年代~2000年代に幼少期を過ごしています。

 

彼は、その中で苦労する親の姿を見て、「これが欲しい」とか「買ってほしいものがある」ということを中々言えなかったそうです。「今でこそ物欲はなくなった一方でどこか満たされたい気持ちがある、それが承認欲求へと変化したのかもしれない」と言っていました。

 

そもそも日本は豊かな国です。自動車や家電製品が殆どの家庭にあり、食べ物に困ることもありません。切実な物欲に駆られたことがなく、その代わりに出てきているのが「認められたい」「褒めて欲しい」といった精神的な承認欲求なのかもしれません。

 

 

若手の価値観③「ムダな努力をしたくない」

「労働環境から見る将来に対する不安・不満」の章でもお伝えしましたが、デジタルネイティブ世代の若者は何でも効率的に進めたいと思っています。彼らはべつに「苦労すること」自体に拒否感があるわけではありません。しかし、「ムダな努力」、「非効率なこと」に対しては極端に拒否感が強くなる傾向が強いです。

 

「同じ結果になるのであれば、なるべく楽をして、効率的に結果を得たい」と考えるのが今どきの若者です。これ自体はある意味では非常に健全な思考かも知れません。しかし、会社や上司との行き違いが生じやすいことも事実です。例えば、上司は「一見無駄だけど、この地道な苦労が成長に繋がる」と考えていたとしても、若手は「何でこんな無駄なことをやらせるのだ」と感じているかも知れません。

 

転職等の選択肢がなく、情報も少なかった時代であれば、すれ違いが生じていても良かったかもしれません。しかし、現在はすぐ転職できますし、他社で働く同年代の情報もネットを通じて入ってきます。“無駄なことをやらせる”会社や上司に対しては、不満を抱きがちな傾向が強くなっています。

 

 

若手社員の離職を防ぐ3つの方法

若手社員の離職要因や価値観の特徴を踏まえて、若手社員の離職を防ぐ3つのポイントをお伝えします。

 

 

若手の離職を防ぐ方法① コミュニケーション頻度を増やす

若手の離職を防ぐには、やはり普段のコミュニケーションが大事です。若手をマネジメントする上では、とくにコミュニケーション頻度のコントロールを意識すると良いでしょう。1時間の面談を1カ月に1回するよりも、3分~5分の雑談を毎日する方が、若手の感情やモチベーションの変化を感じ取ることが出来ます。

 

雑談する時は、上司が一方的にしゃべるのではなく、彼らの話を聴くことが大切です。仕事の話に限らず、趣味でも週末の過ごし方でも何でも良いのです。その中で、普段と違うものを少しでも感じたら、率直にフィードバックして若手の話を引き出しましょう。普段からコミュニケーション頻度を高く保ち、話を聴いてあげることで、「この人は何かあった時に相談できる」という信頼関係が生まれます。

 

 

若手の離職を防ぐ方法② 1on1ミーティングを導入する

マネジメントの世界で「1on1ミーティング」という概念がかなり浸透してきました。『日本の人事部 人事白書2020』によれば、1on1ミーティングを導入している企業は約4割になるそうです。

 

1on1ミーティングは、名前の通り、上司と部下が1対1で定期的に面談することを指します。1on1ミーティングは、上司が業務報告を受ける場ではありません。上司が話題を指定するのではなく、部下にテーマを設定してもらい、部下の話を聴く場です。

 

仕事だけではなく、「困っている事」や「相談したいこと」等、プライベート面を含め、しっかりと話を聴きましょう。上司は「せっかくの面談機会だから…」と伝えたいことや確認したいことが色々出てくるものですが、7:3ぐらいの割合で部下に話させて、自分は聴くことを心がけましょう。1on1ミーティングで出てきた話は、部下の許可を取ったうえでメモに残し、必要であれば、次回の1on1ミーティングの時に確認すると良いでしょう。

 

1on1ミーティングは最低でも1ヶ月に1回以上の頻度で、30分~1時間ぐらいは実施しましょう。優先順位を高め、どうしても外せないスケジュールの時以外は、1on1ミーティングを優先するようにします。1度でもキャンセルしてしまうと、「忙しいから…」とキャンセルすることが習慣化してしまいがちです。気を付けましょう。

 

 

若手の離職を防ぐ方法③ やりがいの演出

離職原因や価値観で解説した通り、いまの若手は「精神的な充足感」や「承認」、「仕事のやりがい」を大切にしています。従って、仕事の意味付けをちゃんと行ったり、やりがいを感じさせたりすることは、若手のモチベーションを高め、離職を防ぐうえで非常に重要です。

 

人によって、やりがいを感じるポイントは違います。従って、自分がマネジメントしている若手が満足感や達成感、やりがいを感じるポイントが知ることが大切です。上司が、自分の価値観ややりがいを押し付けてしまうことがないように注意しましょう。

 

たとえば、ゲームが好きで攻略することが楽しいと思う若手社員なら、小さな目標を一つ一つクリアさせるように仕事させれば、仕事にやりがいを感じやすくなるでしょう。仕事での体験だけではなく、プライベートでの体験からでも、やりがいを演出するヒントを得ることが出来ます。

 

その他にも、「誰かに感謝される」、「上司に認められる」、「頼りにされる」等も若手社員がやりがいを感じやすいポイントです。日々のコミュニケーションや仕事を進める中で、やりがいを感じられるように演出することも離職防止に効果的です。

 

 

おわりに

若手の離職を防ぐことは、企業にとってメリットが非常に大きいです。とくに中小企業にとっては、苦労して採用した若手の離職は、採用・教育コストのムダ、既存社員へのネガティブな影響、欠員補充の費用という三重苦にもなりかねません。

 

若手社員の主な離職理由は「リアリティショック」です。入社前や配属前のイメージと現実のギャップがモチベーションダウンや離職に繋がるのです。とくに古めかしい労働環境、先輩社員や上司への幻滅、仕事のやりがいや成長実感の喪失という3つのポイントは、リアリティショックが生じやすいポイントですので注意しましょう。

 

若手社員の価値観を知り、コミュニケーション頻度の確保や1on1ミーティングの導入、やりがいの演出などの工夫によって、若手の離職防止は可能です。若手の離職にお悩みであれば、ぜひ記事の内容を参考に離職防止の施策に取り組んでみてください。

著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

東宮 美樹

1974年生まれ 鹿児島県種子島出身。1997年筑波大学第一学群社会学類を卒業。新卒でハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。専門分野は新人と若手育成、モチベーション・エンゲージメント改善、女性活躍等

【著書、登壇セミナー】
・新入社員の特徴と育成ポイント
・ニューノーマルで迎える21卒に備える! 明暗分かれた20卒育成の成功/失敗談~
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