入社前研修、目的とプログラム設計のポイント!給料や労働時間の扱いも解説

更新:2021/11/24

作成:2021/10/25

入社前研修、目的とプログラム設計のポイント!給料や労働時間の扱いも解説

新卒採用においては、内定承諾から入社までに1年近く、早期採用をしている場合には1年以上の期間が空きます。そのため、内定辞退防止や早期戦力化の促進として入社前研修を実施する企業も一定数あります。

 

新卒向けの入社前研修は内定者の不安を解消するとともに、同期との関係構築やスキル習得といったさまざまな目的があり、内定者のモチベーションを維持することにもつながります。

 

ただし、なんとなく実施するだけでは意味がありません。また、研修内容によっては賃金が発生するため、正しい知識を持ったうえで実施することが大切です。記事では、入社前研修の目的とプログラム設計のポイント等を解説します。

 

<目次>

入社前研修の目的とは?

新入社員のチーム

入社前研修は内定者や入社予定者に対して行なう研修です。なぜ入社後ではなく、入社前に研修を行なうのでしょうか。大きくは3つの理由があります。
 

内定辞退を防ぐ

新卒採用では、学生が「この企業に入社しよう」と意思を固めて内定承諾しても、実際に入社するのは半年から1年以上先になります。そのため、入社までの期間に「本当にこの企業で良いのか」という不安が生まれ、内定を辞退してしまう学生も少なくありません。

4月~6月に内定承諾した学生が、10~12月や年明けなどに辞退すると、もう一度同じレベルで採用を実施することは困難です。

就職情報サイトのマイナビの調査によると、入社予定先企業を決めたあとに不安になったことがある学生は毎年過半数にのぼります。

 

入社予定先の企業を決めたあとに、不安になったことがある学生の割合

18年卒54.9%
19年卒51.2%
20年卒52.8%

 

<不安になった理由 トップ5>

  • この企業できちんと務まるかどうか 3%
  • 企業の悪い評判・口コミを見て 8%
  • 第一志望の業界・企業ではないため 4%
  • 就職活動内容に対しての後悔がある 9%
  • 就業条件が良くないため 7%

 

入社前研修は内定者たちの不安を取り除くとともに、再度魅了することで、内定辞退の予防を行ないます。
 

最低限必要な業務知識・スキルを習得してもらう

新卒学生は社会人経験がゼロですので、「どんな仕事をするのか?」「自分に仕事をこなせるのか?」といった不安は特に大きいといえます。前章での調査でも、1位は「この企業できちんと務まるかどうか」という不安になっています。

そのため、ITツールやビジネスマナーの基礎知識など、入社後に必要となる業務知識・スキルの習得、資格試験等の準備をしてもらうことは、入社後の早期戦力化と同時に、内定者の不安解除や自信をつけさせることにもつながります。

中途採用で入社前研修を実施するケースは少ないですが、新卒のように入社までに間がある場合には、入社前研修の実施が効果的です。
 

同期入社組との連帯感を感じてもらう

同期との人間的なつながりを作ることも、入社前研修が持つ効果の一つです。新しい環境に飛び込むことになる内定者にとって、一緒に入社する同期の存在は、不安を軽減する大きな支えになります。

以下は、マイナビが実施した内定者研修についての調査結果です。学生は全体の80%以上は内定者研修を受けたいと思っており、過半数の内定者が挙げる理由の一つが「同期との関係構築」です。

 

Q:今後、内定者フォロー・内定者研修を受けたいか

はい80.6%
いいえ19.4%

 

<内定者フォロー・内定者研修を受けたい理由トップ5>

  • 入社後の仕事内容について深く知りたい 0%
  • 内定者同士の人間関係を深めたい 9%
  • 必要な知識やスキル、マナーを身に付けたい 7%
  • 入社予定先の職場の雰囲気を知りたい 4%
  • 先輩社員や人事担当者との人間関係を深めたい 8%

 

入社前に同期との関係構築を支援することは、内定者の安心感やモチベーションアップにつながり、内定辞退の防止にも効果的です。

 

 

研修プログラムの構築方法・プログラム例

研修の実施風景イメージ

入社前研修のプログラムを考える際は、自社の目的と学生のニーズをしっかりと反映させることが重要です。目的とニーズに応じて、以下のコンテンツ例のどこに重きを置くかを決めるとよいでしょう。

企業の理念、ビジョン啓蒙

企業としての考え方や価値観、企業の特徴などを内定者へ伝え、共通のイメージを与えます。組織の一員であることを自覚させ、同じ方向を向いて取り組んでいくことを教えましょう。

理念やビジョン啓蒙は後述する内定承諾理由につながることも多く、特に企業の理念やビジョンを各内定者の選択軸や大切にしている想いに紐づけると、辞退防止に効果的です。
 

社会人としての姿勢づくり

入社に際して、学生から社会人への意識の切り替えは必要不可欠です。ビジネスパーソンとしての自覚を持つことでモチベーションが上がるほか、スキル習得もスムーズになります。

逆に、意識の切り替えができていないと、「入社前の想像」と「入社後の現実」のギャップ(リアリティショック)によってモチベーションが低下し、成長の停滞や早期離職等につながるリスクが高まります。

社会人としてのマインドセットは、入社後の研修で実施することが多いですが、入社前研修から徐々に実施するとさらに有効です。

具体的には、以下のようなことを考えてもらいます。

  • 働くことの意味
  • 学生と社会人の違い
  • 自分はなぜ採用されたのか
  • 企業が求めているものは何か
  • 企業に必要なのはどのような人材か

グループワークやレポートといったさまざまな機会を通じて、じっくり浸透させていくのがおススメです。
 

採用活動時、伝えきれなかった企業の詳細情報の共有

採用面接時は、合否を気にして聞きたいことが聞けていない学生も少なくありません。そんな状態のまま入社してしまうとミスマッチやリアリティショックが生じやすくなります。

そのため、入社前研修で個人面談や少人数でのグループ面談を実施して、給与、待遇、 実際の仕事内容や働く環境などに関して、内定者の疑問や不安を解消してあげることも大切です。
 

入社後に役立つ業務知識・スキルの講習

業界や職種に関わらず、以下のような基本スキルは入社後に必要となることが多いでしょう。

  • 身だしなみ
  • 挨拶
  • 言葉遣い
  • 電話対応
  • パソコンの使い方
  • ビジネスメールの作成方法
  • 報告・連絡・相談

これら以外にも業界や職種、配属先等に応じて、必要となる基礎知識はさまざまです。入社前にこうした基礎スキルを身に付けてもらえれば、入社後の教育がスムーズになります。また、上記のような知識系の学習はオンラインでも実施しやすいので、内定者それぞれのペースで受講してもらうことも可能です。
 

同期や既存社員との交流

内定者が抱きやすい「同期にはどんな人がいるのか?」「うまくやっていけるか?」という不安を軽減する懇親会や社内イベント参加、内定者合宿等も入社前研修の定番です。内定者同士や既存社員とつながる機会を作ることで、相互理解や信頼関係を築くことが可能です。

ただし、同期や既存社員との交流にはリスクもあります。例えば、社会人としての意識が低い内定者がいる場合は、周囲も影響を受けてしまう可能性があります。また、能力の高い内定者が同期に失望したり、見えないところで人間関係トラブルが起こったりすることもあります。

また、社内イベント等に参加したときに、既存社員の言動に失望したり、社風の一部分を見て合わないと感じたりする場合もあります。想定されるリスクに対して配慮しながら進めることが大切です。
 

魅力の再認識(内定承諾した理由)

入社前研修では、「内定を承諾した自分の選択に自信を持たせる」ことも大切です。前述したようなミッションやビジョンの浸透、サービス価値を感じさせるようなワーク、キャリアの可能性を感じられるようなコンテンツ等、自社の採用訴求に応じて、もう一度魅力をしっかりと伝えましょう。

内定者は選考時よりもリラックスしているからこそ、自分の内面を振り返って、価値観やキャリア志向等と自社の魅力、承諾理由を自らつなげてもらう、確認してもらうようなワークが有効です。内定承諾した自分の選択は誤っていなかったと確認してもらえれば、内定辞退の防止につながります。

 

オンラインでの実施を想定しておく

これまで多くの企業では対面研修が一般的でしたが、2020年からはコロナ禍の影響でオンライン研修が主流になりつつあります。そのため、入社前研修もオンラインでの実施を想定しておくことが必要です。
 

オンライン研修は、対面研修に比べて効果が低いというイメージがありますが、やり方を工夫すれば入社前研修の目的は達成できます。また、オンライン研修には場所を選ばない、双方向コミュニケーション、タイムリーな質問が可能といったメリットもあるため、積極的に導入していきましょう。
 

下記はオンライン新入社員研修の実施ノウハウを紹介した記事です。オンライン内定者研修に参考となるポイントもありますので、ご興味あればご覧ください。

 

入社前研修に賃金を支払うべきか?

企業が入社前研修を実施する場合、内定者は受講せざるを得ないことになります。一方で、内定者はまだ入社手続きや雇用契約はしていない状態であり、「賃金を支払う必要があるのか?」と悩む担当者も少なくありません。
 

結論としては、「入社前研修が業務や仕事に関連する内容であり、受講が義務付けられている場合は、労働に従事したものとして賃金の支払いが必要」です。ただし、入社前研修が任意参加で、業務や仕事に関連しない内容であれば、賃金を支払う必要はありません。
 

支払いが必要な場合

 

・企業の指揮命令で実施する

・参加が強制される

・業務や仕事に関する内容

・入社後に必要な知識・技能の習得が目的

・受講有無で配属が優遇される、不参加者に不利益が生ずる等がある

支払いが不要な場合

 

・任意参加

・業務や仕事に関する内容でない

・必要な知識・技能の習得を目的としない

 

賃金の支払いが生じる場合、入社後給与の日割相当額もしくはアルバイト採用として賃金を決めることも可能です。

 

まとめ

入社前研修は、内定者の不安解消や基本スキルの習得、同期との関係構築といった目的があります。

 

主なプログラムとしては、企業のミッション・ビジョン浸透、社会人としてのマインドセット、選考時に応えきれていない質問や不安の解消、同期との関係構築、基礎的なビジネス知識やスキル習得、自社魅力の再訴求などです。

 

効果性の高い入社前研修を実施するためには、自社の目的と内定者の状況・ニーズを踏まえて、上記のプログラムからどこに重きをおくか、どのような研修を実施するかを決定しましょう。

 

なお、研修内容によっては賃金も発生しますので注意が必要です。

 

オンライン実施等も増えているなかで、自社で研修設計や実施が難しい場合はプロの研修会社へ相談することも一つです。HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、さまざまな目的に応じた入社前研修が実施可能です。お気軽にお問い合わせください。

関連記事

  • HRドクターについて

    HRドクターについて 採用×教育チャンネル 【採用】と【社員教育】のお役立ち情報と情報を発信します。
  • 運営企業

  • 採用と社員教育のお役立ち資料

  • ジェイックの提供サービス

pagetop