新型コロナウイルスの影響で導入が加速された「オンライン研修」のメリットと効果的なやり方

2020/06/22

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響で、オンライン研修の導入は加速しました。今まで、動画視聴型のe-learningは“研修の効果性が低い”として、なかなか普及してきませんでした。しかし、この数か月間で実施されてきた双方向型のオンライン研修は、アフターコロナにおける“新たなビジネス様式”の1つとして、普及が予想されます。

 

今後は、すべてをオンライン研修でおこなうのではなく、オンラインでできることはオンラインで、対面でしかできないことは対面でという形で使い分けていくケースが増えるでしょう。記事では、オンライン研修の概要やメリット・デメリットを紹介したうえで、おすすめのオンライン研修ツールを紹介します。

<目次>

新型コロナウイルスの影響で急速に拡がったオンライン研修

 

新人研修やスキルアップ研修、管理職研修等、企業にとって人材育成は欠かせないものであり、これまでは対面での集合研修を中心に人材育成(Off-JT)は実施されてきました。しかし、新型コロナウイルスへの対応として、集合研修が難しい中で、オンライン研修の導入が加速しました。

 

 

対面での集合研修が難しい中で実施された3つの代替パターン

今回、緊急事態宣言に伴って集合研修が実施できなくなった中で取られた選択は以下の3つです。

 

<選択1.オンライン研修への代替>

社員の人財育成にとって不可欠な人材育成。とりわけ、緊急事態宣言の発令直前に入社となった新入社員の研修は延期や中止することが難しく、最もオンライン研修への代替が進んだ分野です。オンライン研修とは、動画やインターネットのWEB会議ツール等を使って実施する研修を指し、大きく3つの種類に分けられます。

 

  • 動画配信(従来型のe-learning)・・・あらかじめ制作した研修用動画を受講者に視聴、テストやレポート提出等を組み合わせておこなうタイプのオンライン研修。

 

  • ウェビナー・・・動画配信をリアルタイムでおこなう形式でのオンライン研修です。いわばテレビの“生放送”です。BtoCの領域では、この数年でYouTubeライブ、Facebookライブ、インスタライブ等で一気に普及しました。リアルタイムで配信する分、旬のトピックを扱えることが特徴であり、またチャット機能や音声を使って双方向性を持たせることも可能です。

 

  • 双方向型のオンライン研修・・・WEB会議ツール等を用いてリアルタイムでおこなうオンライン研修で、最も対面型の研修に近いイメージです。ツールによっては、「50人の受講者を5人×10グループに分割して、15分のグループワークをおこなう」等も可能であり、対面研修でおこなっていた内容をかなりの割合で代替できます。

 

<選択2.研修の中止>

対面でなければ効果が期待しにくい、代替手段が見つからない、優先順位が低い等の理由で、一旦は、延期ではなく、研修の実施そのものを中止する選択もありました。

 

新入社員研修で言えば、Off-JT期間を短くして、現場配属-OJTを早めに始めた企業もあるかと思いますし、HRドクターを運営するジェイックでも合宿型の社内研修等は、緊急事態宣言後もいつ実施できるかの目途が立たず、講師の予定を押さえることも困難なため、一旦中止という決定をしました。

 

ただし、研修の中止は、その分、人材育成が停滞することになりますし、研修への参加意欲、成長意欲が高い社員の意欲を削いでしまうことになりますので、何らかの代替手段を模索することが必要です。

 

<選択肢3.研修の延期>

研修内容の緊急性や重要性を踏まえて、研修を延期するという選択もありました。多くの会社で、新入社員研修以外の集合研修は、延期したケースが大半でした。しかし、緊急事態宣言後も、新型コロナウイルスへの対策は必要とされており、その中で、従来通りの集合研修を実施するかの意思決定は難しい部分があります。

 

また、“密接”を避けようとグループワークを実施しない形になるようであれば、オンライン研修に代替する方が生産性として高くなるケースも多いでしょう。

 

緊急事態宣言が終了した今、改めて延期した分の研修をどうするか、各企業で意思決定が求められています。結論を先送りにしたままですと、延期した分だけ人材育成は遅れてしまい、機会損失に繋がってしまいます。

オンライン研修のメリット・デメリット

 

オンライン研修は、限界もある一方で、対面研修を代替できる、また、対面にはないメリットもあります。今後、求められることは、“オンライン研修の特徴と限界”を把握して、同時に、“対面研修でしかできないこと”を明確にしていくことです。

 

そのうえで、オンラインと対面を組み合わせて、今まで以上に効果性と生産性の高い研修スタイルを作れた企業が、人材育成の優位性を持つことができるでしょう。

 

 

オンライン研修のメリット

オンライン研修の特徴やメリットは、以下の5つです。

 

1.コスト削減に繋がる

対面型の集合研修と異なり、会場費用や講師や受講者の移動時間、移動費用が発生しません。「全国から50人を集める」と、それだけで100~200万円の移動・宿泊費等が発生します。受講者が移動に費やす時間もかなりの時間になりますし、移動時間が発生する分、日程調整も大変になってきます。これを削減できることは、オンライン研修の大きなメリットです。

 

2.受講者が各自のペースで学習できる

動画を使ったオンライン研修の場合、動画コンテンツを用意しておけば、受講者が各自のタイミングで視聴することができます。集合研修の日程調整をしなくても、研修を実施することができます。

 

動画だけで研修を代替することは難しいですが、今まで半日の集合研修をおこなっていたものを、例えば、「動画を使った事前学習と課題提出(いわゆる“反転学習”)」と「2時間の双方向型オンライン研修」、「グループ単位での30分のフォローアップセッション(オンライン)」にするのはどうでしょうか。移動時間がなくなることとも相まって、研修実施の日程調整は容易となるでしょう。

 

3.コンテンツを再利用できる

動画を使う場合、研修の運営者側もコンテンツを再利用することが可能です。ウェビナーも、実施したものを録画することが容易ですので、実施したウェビナーを2回目以降は動画化して展開することも可能です。

 

4.質疑応答しやすい

対面型の集合研修では、「挙手をして質問する」ことが日本人には心理的なハードルが高く、質問が出ない、“じつは疑問があるのに解消しないまま流してしまう”といったことがあります。ウェビナーやオンライン研修では、チャットやQ&A機能を使うことで、“手を挙げる”よりも、気軽に質問することができるため、質問が増える傾向にあります。

 

5.小刻みな研修が可能

対面型の集合研修の場合、集合させる手間や会場等の都合で、半日や1日単位で研修をおこなうことが大半です。オンライン研修の場合、移動が発生しない分、1~2時間の研修をこまめに実施することも可能になります。

 

半日や1日の研修も効果的ですが、研修テーマによっては、半日×1回ではなく、「2時間+1時間+1時間」にして、間に実践を挟むようなタイムスペースド・ラーニングの手法を取り入れることが効果的な場合もあるでしょう。

 

 

オンライン研修のデメリット

オンライン研修のデメリットや対応が必要な点は以下の通りです。これらのデメリットはプログラムの工夫や他の手法との組み合わせで対応していきましょう。緊急事態宣言が終わったことで、対面研修も実施可能な状態になりつつありますので、うまく組み合わせていくことが非常に重要です。

 

・モチベーション、集中力の維持が難しい

動画研修の場合、「いつでも好きな時に受講できる」「気軽に受けられる」というメリットは、「モチベーションや集中力の維持が難しい」というデメリットにもなります。研修の進捗や理解度をチェックできる仕組みを整えておくことが必要です。

 

また、ウェビナーや双方向型のオンライン研修では、対面よりも集中力が持たない、疲労が溜まりがちです。従って、10~15分程度を目安に場を切り替える(講義⇒グループワークへ、感想をチャットへ投稿してもらう、個人ワークを挟むetc)ことを意識して、プログラムを設計する必要があります。

 

・研修内容によってはオンラインで完結できない

画面共有したり、双方向型にしたり、他のツール(オンライン付箋やホワイトボード、オンラインドキュメント等)と組み合わせることで、ツールのレクチャー、グループワーク、ブレインストーミング、ディスカッション、ロールプレイング等、対面研修でおこなう大半の内容はオンラインで代替できます。

 

ただし、身体を使うもの、現物の操作が必要なもの等は、どうしてもオンライン上での実施がかなり困難ですし、学習効果も限られます。また、現時点では“深い内観”等も難しい印象です。これらの研修は3密を避けながらどう実施するか、リアル研修の工夫が求められるところです。

 

ただ、これらのテーマも事前学習等はオンラインで可能ですので、リアルで集合させる時間はこれまでより削減することが可能でしょう。

オンライン研修の効果的なやり方

オンライン研修は、既存の研修を単にオンライン化すれば良いというものではありません。オンライン研修を効果的なおこなうためのポイントを解説します。

 

 

同期と非同期の組み合わせ

まず意識しておきたいのは、同期と非同期をうまく組み合わせることです。

 

「同期」とは、講師・受講者の時間をすり合わせてリアルタイムでおこなう研修のことを指します。双方向型のオンライン研修やリアルタイムのウェビナー等が「同期」型の研修にあたります。同期型は、ディスカッションやグループワークを進行しやすい一方で、スケジュール調整の手間が発生します。

 

一方で、「非同期」は同期の逆で、お互いの時間を合わせずに実施する研修です。動画コンテンツとテストやレポートを組み合わせて、「いつまでに動画を視聴して、課題を実施してください」といった形式が「非同期」型の研修にあたります。

 

また、LINEグループやslack等のビジネスチャット、オンラインの掲示板、e-mail等を使ってのコミュニケーションも「非同期」型の1つです。研修の内容に合わせて、同期型の研修を軸にして、事前学習やQ&A、実践のフォローアップ等を非同期でおこなっていくことが、オンライン研修の基本形と言えるでしょう。

 

 

反転学習の導入

オンライン研修の効果と生産性を高めるためには、反転学習の導入が有効です。反転学習とは、各自で予習してもらったうえで研修に参加してもらうスタイルのことです。

 

この場合、研修は「知識を学ぶ」場ではなく、「理解を確認したり深めたりする」場として、位置づけられます。内容も、レクチャーではなく、ディスカッション、グループワーク、ロールプレイング等が中心になります。

 

双方向型のオンライン研修は、半日や1日といった長時間実施すると疲労しやすくなることもありますので、反転学習と組み合わせることで、短時間でも中身の濃いプログラムを作ることがポイントです。

 

もちろん、反転学習は、対面での集合研修と組み合わせることも有効です。「動画を使った予備学習の後に、双方向でのオンライン研修を実施。その後、更に動画で事前学習してから、対面研修に参加する」といった形式も今後増えていくでしょう。

 

 

こまめな理解度や習熟度チェック

オンライン研修では、理解度や習熟度のチェックをこまめにおこなうことが重要です。とりわけ動画配信の場合は、完全に一方通行になってしまいますので、テストやレポートで理解度を確認することが必須です。

 

また、ウェビナーや双方向型のオンライン研修も、リアルでのセミナーや研修と比べると、参加者の表情から理解度や興味を把握することは困難です。従って、10~15分に1回程度、内容の理解度やQ&Aを入れていくことが有効です。

 

 

非同期でのコミュニティ形成

同期と非同期の組み合わせというブロックでも述べましたが、オンライン研修を効果的におこなう(対面型の研修も同様です)ためには、LINEグループやslack等のビジネスチャット、オンラインの掲示板、e-mail等を使った非同期のコミュニティを形成することが有効です。非同期で、Q&Aや実践のフォローをおこなっていくことで研修全体の効果性を高めることができます。

 

なお、ビジネスに関するオンラインのやり取りは、“雑談”や“アイスブレイク”がなくなりがちです。双方向のオンライン研修でも、非同期のコミュニティ内でも、運営側が意図して雑談やお互いを知り合うコミュニケーションを仕掛けることが、発言しやすい環境の構築に繋がり、結果的に研修効果を高めます。

 

 

事前準備の重要性

対面の集合研修においても事前準備は重要ですが、オンライン研修においては、対面研修以上に事前準備が重要です。オンライン研修は、対面研修と比べると“アドリブが効かない”傾向にあります。もちろん、運営側が慣れていき、オンラインホワイトボードを使いこなせるようになったりすると、アドリブで対応できる範囲も増えていくでしょう。

 

ただし、

 

  • 安定した通信環境や受講環境、機材がないと、研修効果が落ちる
  • 受講者の姿勢や表情から、理解度や興味を察することが難しい
  • 講師から発信できる情報が音声中心になる

 

といった点では限界があります。

 

従って、資料の事前送付、インターネット環境の確認、オンライン研修のグラウンドルール共有、プログラム設計等、「受講者が冒頭から研修に集中できる環境を整えるための準備」が非常に大切です。

 

なお、研修導入部分でのグラウンドルールの解説等は、以下の資料も参考になるでしょう。

 

おすすめのオンライン研修ツール5選

オンライン研修で使えるツールやサービスとして、5つのサービスを紹介します。

 

・Zoom

オンライン会議ツールのZoomは、基本プランであれば無料で利用することが可能です。有料プランもプロアカウントであれば、2,000円/月~と低価格で、100名までのオンライン研修を実施することができます。

 

とくにブレイクアウトセッションと呼ばれる、研修内でグループワークをおこなえる機能が、双方向型のオンライン研修をおこなううえでは非常に有効です。オプションとなりますが、ウェビナーを実施することも可能です。

https://zoom.us/

 

・CiscoWebex

昔からテレビ会議システムにおいて定評のあるCisco社のオンライン会議ツールです。大手企業や大学等での導入実績が多いですが、Zoomと同じような低価格での利用も可能です。Zoomと同じように、グループワークを実施することも可能です。

https://www.webex.com/ja/video-conferencing.html

 

・MicrosoftTeams

マイクロソフト社のオンライン会議ツールです。Office365とセットで利用されていることが多く、こちらも大手企業での導入が多くなっています。若干使い勝手が悪い側面もありますが、研修内でのグループワーク実施も可能です。

https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/microsoft-teams/group-chat-software

 

・G Meet

Google社の提供するオンライン会議ツールです。Gsuiteを導入している企業では、Googleカレンダー等と連携して使えますので、セットで使われているケースが多いでしょう。使えるブラウザが限定される、グループワーク機能がない等、オンライン研修を実施するうえでは、上の3ツールと比べるとできることが限られています。

https://meet.google.com/

 

・UMU

UMUは、オンライン会議ツールではなく、オンライン研修をおこなうためのプラットフォームです。いわゆるLMSと呼ばれるシステムの1つですが、動画学習、簡易な動画作成、テスト実施、課題提出、資料共有、ウェビナーの配信、双方向のオンライン研修(Zoomを利用)等、オンライン研修を実施するための機能が一通り盛り込まれているのが特徴です。

 

本格的にオンライン研修を展開するうえでは、検討したいツールの1つです。

https://m.umu.co/

 

なお、Gsuiteユーザであれば無料で使えるGoogle classroomもLMSの機能を持っています。また、他にもLMSはありますので、ぜひ比較してみてください。

 

なお、双方向型のオンライン研修で使えるツールは、以下の資料も参考にしてみてください。

 

 

まとめ

新型コロナウイルスの影響により、企業研修も大きな影響を受けています。緊急事態宣言の発令に伴って一気にオンライン研修の導入が進みましたし、今後も新たなビジネス様式の1つとして、オンライン研修の浸透は進むでしょう。

 

オンライン研修には、限界もありますが、移動時間が発生しない、移動費用が発生しない、日程調整しやすい等のメリットもあり、気軽に研修の実施が可能です。効果的なオンライン研修を実施するノウハウを蓄積したうえで、対面型の研修と組み合わせれば、人材育成をより効果的、効率的におこなうことができるでしょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック 取締役 HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等

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